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がん対策、健康づくりは全員参加で!

一人ひとりが「がん対策」行動を考え実践するために |
10月5日、大阪商工会議所で健康教室を開催。大阪樟蔭女子大学 健康栄養学部 健康栄養学科 教授 鈴木 朋子氏が「がん対策、健康づくりは全員参加で!一人ひとりが『がん対策』行動を考え実践するために」をテーマに講演されました。参加数は、52組合・69人。(以下に講演要旨) |
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鈴木 朋子 氏 |
第3期がん対策推進基本計画には、@がん予防、Aがん医療の充実、Bがんとの共生という3つのテーマが示されています。今回は、「がん予防」について考えていきます。
がん予防には、@がんの1次予防と、Aがんの早期発見、がん検診(2次予防)の2つがあります。1次予防は、「健康的な生活習慣の実践」によるがん予防で、「喫煙しない」「適正飲酒」「身体活動」「適正体重の維持」「減塩」「野菜摂取」などがあります。2次予防は、「有効性の確認されたがん検診の受診」によるがんの早期発見、早期治療です。がんから命を守るという視点にたった場合、1次予防も重要ですが、2次予防は不可欠です。
そこで演者らは、がん対策に関する理解を促し、がん対策行動の実践に繋げることを目的とした健康教育教材「がんカルタ」を開発しました(2011年3月、がん研究開発費20―2報告書)。カルタは44枚の札で構成され、@がん全般、Aたばこ対策(1次予防)、B肝炎ウイルス検診(1.5次予防)、Cがん検診(2次予防)、Dがん医療―の5分野について、現状や対策、個人として実践すべき課題等、がん対策の全体を学べるものを目指しました。開発は、一般の人が理解しやすいという視点から、がん疫学の専門家(井岡亜希子医師)が科学的根拠を担保し、管理栄養士・栄養士課程で学ぶ女子大学生の意見を反映しながら行いました。
健康的な行動変容を支援するには、健康行動科学の理論・モデルや健康教育の方法論が参考になります。例えば、健康に関する知識のみを提供するよりも、「行動しよう」という意図に関連する要因に働きかける方が、行動変容効果が高いとされています。したがって、健康教育では、健康に関する知識学習に留まらず、自分自身の課題やその解決方法を考えていく機会を提供することが望ましいとされています。
「がんカルタ」は、小グループでのカルタとりを通してがん対策について学んだ後、グループでの意見交換を通して、「がん」や「がん予防」を自分自身の問題として考える機会を提供することをねらいとしています。カルタとりでは、カルタの読み順を工夫することで、がん対策の全体を学ぶことができます。その上で、グループのメンバーと、気になった札や意味を確認したい札についての意見交換を行うことで、理解を深めます。最後に、学んだことを「自分へ」と「大切な人へ」(家族など)の2種のメッセージカードを作成し、グループで共有します。このワークでは、「がん検診の重要性」や「がん検診を受診してほしいという思い」が、自分自身の言葉で語られることが多いです。
2017年1月より、「がんカルタ」をベースに、イラストが一新され、産経新聞(夕刊)に「健康教室 がんを知る」として、月1回(最終水曜日)連載が行われています。「がん対策」として、何ができるかを考え実践すること。それは、自分自身のためのみならず、周囲の人のため、社会全体のためへと繋がっていることと思いませんか。 |
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