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健康保険組合の全国大会が、例年よりひと月早く開催された。今年は、消費増税を来年秋に控え、我々の要求実現に向けて組織の総力を結集し、力強いアピールを発信するなかで幕を閉じた。
今年は、大規模健保の解散問題に端を発し、現役世代である健保組合の拠出金負担の問題がクローズアップされるところとなった。これまで我々が訴えかけてきた「健保組合解散=(イコール)国民皆保険存続の危機」が、現実のものとなったからではないだろうか。新聞各社の解散報道から世間の注目を集め、国会では党派を問わず国会議員から、政府に対して多くの質問が浴びせられた。当初の政府答弁は、「健保組合の財政は急激に悪化しておらず、健全に推移している」、「母体企業の影響であろう」、「(厚労省の)助言・指導を行うことにより財政の健全化を図っている」などと、高齢者医療制度の過重負担による本質的な原因に触れようともしなかった。
我々がこれまで必死に訴えかけてきたことを実現しようとしない政府の態度に、我々関係者は腹立たしさを覚えた。しかし、相次ぐ議員からの質問に、特に健保組合が協会けんぽに移行した際に生じる国の税負担(国庫補助)増に、その方向を変えた。厚労大臣が「解散に追い込まれる前に、その要因を分析し、必要な支援を実施したい」と言及するまでになった。
かなり昔のことであるが、当時の財務大臣が「母屋(おもや)でお粥(かゆ)をすすり、離れですき焼きを食べている」と、国の一般会計と特別会計の状況を表現したときのように、国の財政はやりくりがしんどいなか、健保組合は財政黒字、余裕があるのに何を言っているのか? 程度の認識であったとも言えなくもない。だが、国の肩代わりをさせられてきたのは健保組合で、その額はもう限界を超えている。
平成29年度の健保組合の決算見込みが9月下旬に健保連から公表された。いつもより若干遅れての発表である。全体では4年連続の経常黒字であるが、黒字といえども前年度の4割減と内容は決してよくない。赤字組合は41.6%をしめる。「財政が厳しいといっているが、そうではないのでは?」との問い掛けもあるが、高齢者医療への拠出金が増えるなか、多くの組合が毎年保険料率を引き上げ、収入を一生懸命増やして財源を確保している状況にある。決して、これまでの収入で賄えたわけではなく、大幅な負担増を加入者に強いた結果であることは間違いない。
先月の内閣改造において、首相は「少子高齢化に立ち向かい改革を進めて行く」と表明した。
国民皆保険制度の維持・存続になくてはならない健保組合の存在を国は理解し、行動をとってくれるのだろうか。時は今である。制度改革は、もう先の世代への先送りは許されないところにきている。 |
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(H・K) |
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