広報誌「かけはし」

■2018年8月 No.563
時評

健保組合のコラボヘルス
― 健康スコアリングが始まる ―

 今年もすでに半ばを過ぎた。地震や豪雨など、未曾有の自然災害が日本列島を震撼させたのは、つい最近のことである。被害に遭われた方々が1日も早く、これまでどおりの生活に戻れることをお祈りしている。
 さて、このほど日本健康会議において、健康スコアリングについての報告書が公表された。以前から、厚労省と日本健康会議が連携して、保険者と事業主によるコラボヘルスを推進するために検討されてきた。「未来投資戦略2017」において、社員の健康状況等を見える化し、事業主に通知することで、事業主と保険者の橋渡しをする「健康スコアリングレポート」の実施が決定された。これを受け、日本健康会議のもと、詳細設計に関するワーキンググループが設置された。
 その主な検討結果としては、▽2018、2019年度については、基礎データとなるレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)が事業所単位ではないため、健保組合単位のレポートとする▽内容は、「レセプト」「特定健診・特定保健指導」データをもとに、医療費、特定健診受診率、特定保健指導実施率を全国比較する。すでに同様の事業を実施している健保組合もあることから、実情に応じた活用を認める▽厚労省・経産省・日本健康会議のクレジットを付記し、国からのメッセージであることを明確にする――というものなどである。
 健保組合や事業所の担当者向けには参考資料が用意され、レポートの内容を補完する詳細データが掲載される。このほか、スコアリングの趣旨や各指標の見方、活用方法などが記載されたガイドラインも、レポートとあわせて配布される予定である。
 レポートは、8月に開催される日本健康会議にあわせて全健保組合に発送される。加えて秋頃には、レポートの効果検証にかかるアンケート調査が予定されており、本年度中に再度ワーキンググループを招集し、2020年度以降の実施方法について検討される。
 最近では、健康経営優良法人認定制度への関心は高まっていると感じる。毎年11〜12月頃に、来年度の認定にかかる申請が始まるため、現在、健保組合や事業所の担当者は準備を始めていることだろう。優良法人の認定を受けているか否かで、世間のイメージは大きく異なると耳にしたことがある。そういった外的要因も、関心の高まりに関係しているのではないか。
 また、大阪でも中小規模法人部門で認定される健保組合も出てきている。健保組合自身が認定されることにより、加入事業所に対して健康経営に取り組むよう働きかけやすくなるという点や、健保組合が先頭に立って取り組んでいるという証にもなる。
 今後、日本では高齢化がますます進み、医療費の増大は火を見るより明らかだ。そのようななか、われわれ健保組合は、事業主とともにコラボヘルスなどにより、疾病の重症化予防や健康増進に取り組むことで、増え続ける医療費を適正化できると信じたい。
  (M・S)