広報誌「かけはし」

■2018年4月 No.559


 健保連の白川修二副会長は3月28日、大阪連合会総会後に中央情勢を報告した。情勢報告は、対外活動として@健保組合・健保連の主張の具体化への財源A経済・財政再生計画改革工程表―など。健保組合の事業展開のポイントとして@第2期データヘルス計画AICT関連―など、非常に広範に及んだ。
 31年度については、消費税増税による増収分の社会保障制度への財源捻出が焦点となる。そのため、30年度は我々の要求実現のためには重要な年となることから、健保組合のいっそうの協力と支援を呼びかけた。(以下は説明要旨、文責本誌)
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医療費適正化
 政府は現在、経済・財政再生計画改革工程表を平成28年度から30年度までの3カ年計画を進めている。高齢化による社会保障費の伸びを3年間で1億5000万円に抑えるという仕組みである。30年度の政府予算では、1年間で5000万円の伸びに抑えるという目標は達成できる見通しである。
 ほかに、保険適用範囲の見直しと後期高齢者の自己負担割合の問題がある。保険適用範囲の見直しは、高額薬剤が増えている現状を勘案し、軽度な疾病にかかる薬剤を適用除外にするなど、主に薬剤を中心に議論されると見込んでいる。自己負担割合については、26年4月以降に70歳に達した方は、従来の1割負担から2割負担となっている。その方が30年度には75歳に到達し、1割負担に戻るというところを、2割負担を継続すべきという考えがある。
第2期データヘルス計画
 @健保組合における特定保健指導の平均実施率は18%である。法的義務であるなかでのこの数字のため、実施率向上に向けたモデル事業が開始される。A生活習慣病予防のための管理料が新たに算定される。医師会も生活習慣病の改善については前向きな考えをもっており、特定保健指導については、健保組合は医療機関とも連携して取り組んでいただきたい。B被用者保険が実施しているがん検診について、弾力的な運用を示したマニュアルが作成された。検診を実施するだけでは意味がなく、精密検査を受けて、早期発見・早期治療に結び付けるということに意味がある。C健康経営優良法人に1300法人が認定された。そのうち、健保組合が保険者であるところが607法人あった。また、健保組合自身が認定されたところも6組合あった。事業主と保険者が連携していることが大きな評価要素となるため、コラボヘルスそのものといえる。
ICT関連
 @マイナンバーの中間サーバーについては、現状、健保組合の業務に活用できる情報連携はほとんどないにもかかわらず、事務負担ばかりが増えている。さらに運営コストは負担しないといけないなど、健保組合にとってはメリットが少ない。今後予定されているオンライン資格確認等については、同じ轍を踏まないよう、保険者等の意見を聞く検討会を設置するよう要望した。それにより、ワーキンググループが設置された。Aマイナポータルを活用した行政手続きなど、電子情報によるやりとりが可能となるよう、事業主や保険者の事務負担が改善するよう要求していく。