広報誌「かけはし」

■2018年1月 No.556

健保連大阪連合会 会長  小笹 定典

 新年あけましておめでとうございます。皆様にはご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 昨年を顧みますと、国内政治では、10月に衆議院選挙があり、自民党・公明党の与党が圧勝、11月1日安倍第4次内閣が発足しました。今後は自公政権として、憲法改正、財政問題などが国会で審議されることになりますが、明るい将来がみえる政策を期待したいと思います。
 一方、世界に目をやると、欧米では各地でテロ事件が発生し、またアジアでは核問題をめぐる激しい対立があり、日本を取り巻く安全保障環境についての動向を注意深くみていく必要があります。
 スポーツ界では、世界陸上男子400mリレーで銅メダルを獲得、また、桐生選手が100mで日本人初の9秒台(9.98秒)を出すなど、陸上界は大いに盛り上がりました。
 その他、秋篠宮家の眞子さまの婚約発表や、ノーベル文学賞をカズオ・イシグロ氏が受賞するなど、明るい話題もたくさんありました。
 健康と医療の分野では、データヘルス計画、コラボヘルスの取り組みもあり、事業所では従業員の健康意識が高まり、また「健康経営」にも関心が示され、大阪の健保組合からも35社以上の事業所が「健康宣言」を行っています。健保組合としては、今後はさらに事業所とのコラボヘルスを強化し、病気の予防、健康づくりにおける第2期データヘルス計画を積極的に展開し、保険者機能を十分に発揮していく必要があります。
 医療保険分野では、2017年度から後期高齢者支援金の全面総報酬割が実施、また、介護納付金の段階的総報酬割が8月から実施され、健保組合をめぐる環境は一段と厳しくなっています。
 大阪の健保組合の財政状況をみると、2016年度決算は、全体で218億円の経常黒字となりました。しかし、主な要因は、一方的に迫られる拠出金への対応のための保険料率の引き上げによるもので、赤字組合も約4割あり、健保組合の経営が健全化したわけではありません。保険料収入の41.3%が高齢者医療への拠出金です。この状態が続く限り、健保組合の健全な財政運営は望めません。
 団塊の世代がすべて後期高齢者になる2025年には、健保連の推計による国民医療費は58兆円にもなり、2015年の1.4倍。このうち6割が65歳以上の医療費で、特に後期高齢者医療費は15兆円から25兆円と1.7倍に急増するとしています。健保組合の高齢者への拠出金もさらに増加し、4兆円を超える状況となります。
 そのようななか、昨年11月に健保組合全国大会を開催し、「迫る超高齢社会! 皆保険の存続へ改革断行!!」を全健保組合の総意で決議したところです。
 まず、医療保険制度・介護保険制度全般にわたる負担構造改革の早期実現が必要です。具体的には、現役世代の負担に一定の歯止めを設け、拠出金負担割合は50%を上限とし、上限を超える部分は全額国庫負担とすることなどです。また同時に、実効ある医療費適正化対策を確実に実施していくことが大切です。
 超高齢社会の到来による国の社会保障支出の増大、国の対策として健保組合への負担の転嫁などを許すことなく、抜本的な解決策を求めていかなければなりません。
 高齢者医療費への対応は、税、保険料等、適正な財源を確保し、現役世代に負担を強いるだけでなく、国民が納得できる公平な負担を図ることが重要です。人生100年時代構想を踏まえ、国民皆保険制度を将来に向けて健全に維持していくことが、われわれの役目でもあります。
 健保組合と健保連が、より一層連帯を強め、全力を挙げてこの難局に立ち向かっていかなければなりません。
 大阪連合会では、健保連本部、各都道府県連合会、各関係団体とも十分に連携をとり、改革断行に向け成果のある年にしたいと思います。皆様のこれまで以上のご指導、ご支援を心からお願い申し上げます。
 最後に、本年も皆様がご健勝・ご多幸で活躍されることを祈念して、新年のあいさつとさせていただきます。