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改革断行!!

― 健保組合の本気度が問われる1年 ― |
年が明け、例年この時期、各健保組合では予算編成が佳境を迎える時期と思われる。厚生労働省からの予算編成通知や、健保連本部から提供される試算ツール等をもとに次年度に納める高齢者医療への拠出金を算出する。その結果、増額となった場合、本来は積極的に取り組むべきである保健事業について、仕方なく計画の中止、縮小等を迫られるケースも多いのではないだろうか。
先般(昨年11月)開催された健保組合全国大会において、全国約1400の健保組合の関係者約3500人が結集し、「迫る超高齢社会! 皆保険の存続へ改革断行!! 優れた保険者機能を発揮し、我々が皆保険を守る」をテーマとし、@(健保費用に占める)拠出金負担に50%の上限、現役世代の負担に歯止めを A高齢者医療費の負担構造改革の早期実現 B実効ある医療費適正化対策の確実な実施 C生涯現役社会を目指し、保健事業等の積極的な推進―を大会スローガンとする決議を、満場一致で採択した。
大会スローガンにもあるように、本来、健保組合が保険者として取り組むべきは、保健事業の積極的な推進と考える。「生涯現役社会」を後押しして、健康な高齢者に「支えられる側」から「支える側」に加わってもらうことが重要である。健保組合加入期間中の健康維持のため、保健事業を実施することはもちろんであるが、加入者が定年退職したあと、高齢になっても健康で働き続けることができるよう、保険者として、現役のときから加入者の意識改革等に積極的に取り組むことは重要である。健保組合は、自主・自立の組織として、事業主と連携・協力して加入者の実態に沿ったきめ細かい健康保持・増進、疾病予防等の効果的な保健事業を推進するなど、優れた保険者機能を発揮してきた。これからも全力で取り組むことで健保組合としての存在意義を示していくべきと考える。
しかしながら、現実は高齢者医療制度への拠出金負担が重くのしかかり、その保健事業費の捻出もままならない状況である。すでに拠出金の割合が平均46.1%に達しており、2025年度には50.7%に達すると見込まれている。そのためにも、拠出金負担にせめて50%の上限を設け、上限を超える部分は国庫負担とするなど、現役世代の負担に歯止めをかけるべきである。
一方、国民皆保険制度を維持するためには、言うまでもなく医療保険財政の安定化が重要課題である。このままでは、保健事業の実施はおろか、制度の維持ができなくなり、さらには制度破たんも現実味を帯びてくる。将来世代のためにも、国は現役世代の負担軽減や高齢者に応分の負担を求めるなど、高齢者医療費の負担構造改革を断行するとともに、消費税率の引き上げや税制の見直しにより、必要な財源を確保すべきである。また、増え続ける医療費を抑制し、限りある医療資源を効率的に活用するためには、過剰な急性期病床の削減等を中心とした医療機能の分化・連携の推進、薬剤費の適正化、保険給付範囲の見直しなど、国レベルの施策展開により国民医療費全体の伸びを抑制すべきである。
健保組合が、保健事業など優れた保険者機能をさらに進化させ、果たしている役割を内外に幅広く広報するとともに、高齢者医療費の負担構造改革等を、国に強く訴えていくべきである。
言うまでもなくこの改革は、保険者であるわれわれ健保組合がまず本気にならないと決して実現し得ない。大きな改革も、一人ひとりの本気から始まる。その本気が周りに伝わり、大きな改革の波となる。大会スローガンにあるように、まさに「改革断行!!優れた保険者機能を発揮し、我々が皆保険を守る」との気概を持って臨まなければならない。その本気度を問われる1年とも言えよう。 |
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(M・M) |
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