広報誌「かけはし」

■2017年11月 No.554
 
投稿 言わしてんか!聞いてんか!

●保険者責任を明確に
 

 特定健診・特定保健指導において、今後ペナルティーを強化し、保険者責任を明確にするとされている。そこで疑問が湧く。一つは、期中で期間満了予定の現役を引退した任意継続者に対して、その実施責任があるのかという疑問。途中退出者は個別組合の実績にカウントされないから、やっても意味がないと思うのだが。しかし本当にそれでよいのか。
 二つ目は、そもそも被用者保険の保険者は、これら任意継続者に対する特定健診・保健指導事業の実施者として相応しいのかという疑問。被扶養者への実施率がなかなか上がらないように、職域から離れ、生活の場を地域に移した人たちに対する保健事業を、職域保険が直接実施するには難しい面がある。明らかに、地域保険の方に地の利があるはず。つまるところ、特定健診・保健指導に任意継続制度は馴染まないのではないか。
 個々の保険者責任を問うのもよいが、まず、退職者への給付の問題とは別に、だれが被保険者の健康管理責任者であるべきなのかという観点から、退職者が帰属すべき保険制度を明確にしてもらえないだろうか。退職とともに職域から地域へ保険者責任がバトンタッチされ、あるべき帰属先においてきちんと保健事業の恩恵を受けられる。このような自然な流れが、スムーズな保健事業の実施につながるはずだ。2年間という緩衝地帯を残し、境界線を曖昧(あいまい)なままにするのは如何なものだろう。
 任意継続被保険者制度は、すでに本来の目的を終えた制度。一体いつこの制度は終わるのだろうか。無意味な制度の存続と罰則の強化に現場は戸惑うばかりだ。

(第4地区 K・Y)

   
●ヘルスリテラシーって?
 

 私は健康保険組合で保健事業を担当する保健師ですが、保健事業を計画する際、対象者のヘルスリテラシーを高めるような工夫をしたいと意識しています。ヘルスリテラシーとは“健康の自己管理能力”のことで、簡単にいうと「自分で健康を守れるようになろう」ということです。
 当健保は被保険者に対して健康イベントへの取り組み状況とその結果に応じ、ヘルスポイントを付与する事業を行っています。健康イベントは健康保険組合で決めた健康目標のなかから自身で選んだものに3カ月間取り組み、達成できたものにはヘルスポイントを付与するものです。
 また、各拠点には従業員の健康づくりを応援する推進委員を置き、活性化を図っているのですが、先日、ある推進委員から「本来選んだ方がいい項目を選ばず、実施しやすい項目を選んでいる従業員がいる。本人の健康のために選ぶべき項目に取り組ませたいのだが」という相談がありました。なかなか親切でやる気のある推進委員で、とてもありがたいのですが、それをしてしまってはヘルスリテラシーが育たないどころか、健康は不自由なことをしないと得られないものになってしまいます。自分で選ぶ、この事業において、そこは譲ってはいけないと思っています。
 健康に関する知識は保健指導や健康教育など、ほかの機会に伝えるとして、どのような健康目標を選び、健康になるのかは、もちろん最終的には本人の自由です。自分で決めて成功し、達成感を得て、自信を持ち、次の目標に向かってほしいと思っています(また、経験者である私は失敗もそれなりにいい体験であると思います)。その成功体験の一つひとつは、これからの自身のヘルスリテラシーに大いに関係しているはずです。
 その健康イベントが本年も9月に始まりました。今年は昨年より達成できる人が増え、多くの方のヘルスリテラシーが上がることを願っています。

(第5地区 M・Y)

 
●思いつくまま
 

 今ごろ何を言うてんねんと言われそうですが、でも、どうしても「言わしてんか!…」。
 はじめに協会けんぽへの補助金ですが、黒字続きで豊富な蓄えもあるのに、なぜ16.4%の国庫補助金が支出され続けるのでしょうか。
 かたや赤字続きの健保組合では、毎年保険料率のやりくり算段をしているというのに…。しかも、料率引き下げの話までチラついているようですが、もしそうなれば、特に、現在すでに協会けんぽ以上の料率の健保組合で、解散機運が一気に加速するのは明らかではないかと思います。
 次に、後期高齢者支援金の「加算・減算システム」ですが、そもそも高齢者医療費支援と健保組合の特定健診・特定保健指導の実施結果には、どのような関連があるのでしょうか。
 ましてや個々の健保組合の内部事情を考慮することなく、ただただ結果の数字だけで判定されてしまうのです。メタボ以外あるいはメタボであっても年齢や数値が境界ギリギリの人は、まずははじかれてしまいます。システムのための特定健診・特定保健指導にならないように注意が必要ではないかと思います。
 最後に「あはき療養費受領委任制度導入」ですが、なぜこんな話が唐突に出てきたのでしょうか。
 患者本人からの請求による「償還払い」が一番有効な不正対策とされるなかで、健保組合の多くが償還払いへのシフトを実施、あるいは検討しているという話を聞きます。
 むしろ、柔整療養費の受領委任払いを療養費支給の原則である償還払いへという話が出てきてしかるべきではないかと思います。
 思いつくままに、とりとめなく書いてきましたが、それぞれにきっとふかーいワケがあるのかなと考えながら、今後の保険料率に頭をひねり、特定健診の受診率や、特定保健指導の実施率向上の方策を練り、そして目の前の柔整療養費申請書と向き合っている毎日です。

(第6地区 Y・I)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連大阪連合会事務局へ。(06-4795-5522)