広報誌「かけはし」

■2017年11月 No.554
時評

診療報酬に歯止めを!!

 9月17日、敬老の日にちなんで総務省が発表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、2017年度(推定)の65歳以上は3514万人。総人口1億2671万人の27.7%を占めている。75歳以上では1747万人で、総人口の13.8%である。
 日本の総人口が毎年減少する一方、高齢者は増加している現状であり、高齢者人口の割合は世界一である。
 高齢者の就業状況は13年連続で増加しており、2016年度の65歳以上の労働人口は770万人と過去最多で、就業者総数に占める割合は11.9%である。
 10年前と比べて高齢者人口は約1.25倍、就業者数は約2.5倍に増加している。単純に考えると、元気な高齢者が増加しつつあるといえるし、就労人口減少がいわれているが、それもある程度は緩和できているのではないかと思う。
 いわゆる「生産年齢人口」は15歳から64歳までの人口を指していて、その年齢の人たちが社会を支え、15歳未満、65歳以上の人たちは支えられているという構図になっている。
 しかし、日本の現実は、65歳以上の労働人口が生産年齢人口の13.5%にも相当している。高齢化社会のなかで元気で働ける高齢者が、社会の支える側にあるということを統計上でも明らかにしてはどうか。
 一方、厚労省が平成28年9月に発表した「医療費の伸びの要因分解」をみてみると、2015年の医療費の伸びは3.8%。そのなかで医療高度化の影響は2.7%で高齢化の影響の1.2%の2倍を超える。
 近年の国民医療費の伸びは増加の一途であるが、高齢化の影響よりも、医療高度化の影響が大きいという現実を表している。高齢化社会の進展により、医療費が自然増で年間6300億円になると想定されているし、その伸びをどう削減するかが問題とされている。
 社会保障給付費は、2012年の109.5兆円から、2025年には148.9兆円に急増すると想定されている。国民医療費でいうと、35兆円から54兆円に増加する。社会保障費の伸びを、年5000億円に抑えるぐらいでは制度を維持できなくなる可能性もある。健保連が行ったシミュレーションでは、2025年には法定給付費は16.5%増、拠出金は38.6%伸びると推計されている。拠出金の負担構造を変えなければ、健保組合は持ちこたえられない。
 来年度は診療報酬と介護報酬の同時改定の年である。まず診療報酬の総額として伸びに歯止めをかけるべきであろう。国民医療費の伸びを抑えることが、国のとるべき道ではないか。
  (M・K)