広報誌「かけはし」
 

■2017年10月 No.553



 9月13日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。はじめに、出席者の交代があった理事組合(シャープ健保)の紹介があった。

1. 中央情勢

(1) 厚労省の2018年度予算概算要求
   総額は、2017年度予算対比7426億円増(2.4%増)の31兆4298億円となった。高齢化に伴う増加額は6300億円で、1年間5000億円増にとどめるとした先の政府目標を1300億円上回った。
(2) 介護納付金総報酬割にかかる負担軽減策
   納付金額に上限を設定し、負担の特に重い保険者の負担を軽減するもの。国庫補助の対象となるのは、上限に該当しない保険者(約68%)と、負担調整見込額を含めて、上限設定前よりも納付金額が高くなる保険者(約5%)の合計約73%の保険者。
(3) 2015年度特定健診・保健指導実施状況
   特定健診対象者数は約5396万人、受診者数は約2706万人で、実施率は50.1%。特定保健指導対象者数は453万人(対象者率16.7%)、終了者数は79万人(実施率17.5%)だった。制度開始から7年が経過したが、伸び率は低調なままである。
(4) 2025年度に向けた健保連の国民医療費等の推計
   2025年度には、今の1.4倍の57.8兆円に増加する。65歳以上高齢者の医療費は1.5倍、特に後期高齢者医療費は25.4兆円となり、1.7倍に急増。
 1人あたり医療費は、前期高齢者は67万円、後期高齢者は120万円に増える見通し。前期高齢者は、0〜64歳の3倍程度、後期高齢者は5倍以上となる。
 健保組合の高齢者医療への拠出金額が、2025年度には法定給付費を上回る(法定給付費:2015年度比16.5%増、拠出金:同38.6%増)。
 2025年度には、健保組合の経常収支均衡保険料率(平均)は11.8%まで上昇。協会けんぽの収支均衡保険料率(推計12.5%)以上の健保組合は380組合。これらが解散した場合の国の財政負担は1800億円と見込まれる。
(5) 2025年度に向けた健保連の医療保険制度改革の考え方
   国民皆保険制度を将来につなげるには、医療保険財政の安定化が最重要課題である。医療費増嵩の抑制と高齢者医療制度の改革を中心に、医療保険制度の抜本的改革を先送りせずに断行すべきである。
 改革への課題と、健保組合・健保連の考え方については、@現役世代にかかる拠出金等の負担に一定の歯止めをA高齢者にも応分の負担B必要な税財源の確保―を中心に、医療費の伸びを抑制し、健康な高齢者(=支える側)を増やすことなども挙げられている。
(6) 2017年度下半期の健保連の広報事業
   主張展開の基本的な考え方は、「加入者・事業主・国会議員」の3つの対象に分けて、それぞれにふさわしい内容を強く訴える。キャッチコピーを含め、内容の訴え方を工夫し、受け手にインパクトを与えるものとする。なお、新たに追加して実施するものとして、リーフレット(パンフレット)の作成、動画作成、雑誌への意見広告を予定している。
 また、主張の展開と並行し、マスコミへの対応も行っていく。
(7) 健保組合決算見込(2016年度)
   全国1399健保組合の2016年度決算は、2373億円の経常黒字の見込み。短時間労働者の適用拡大等、被保険者数の大幅増による保険料収入の増加が影響した。平均保険料率は9.110%で、協会けんぽの保険料率(10%)以上の組合は304組合あった。(詳細はこちら
(8) 高額レセプトの状況(2016年度)
   健保連は、2016年度高額医療交付金交付事業から、高額レセプトの状況をまとめた。
 1カ月医療費が1000万円を超えるレセプトが、前年度より123件増加し、484件となり過去最多を更新した。上位2件は1億円を超え、2000万円以上の件数も69件あり、医療費の高額化傾向を示す結果となった。

2. 大阪連合会活動

(1) 広報委員会
   広報委員会から、かけはし9月号の編集概要の報告があった。
(2) 報告事項
   川隅専務理事から、「あしたの健保プロジェクト」に関して、塩野義健保組合の健康経営への取り組みについて紹介。また、大阪連合会が行う、中小規模の健康優良法人認定についての説明があった。
 去る7月29日に開催した「健康みらいトークin大阪」について、無事に終了できたことへのお礼と、記事掲載の連絡があった。今後の予定として、10月7日に開催される「健康みらいトークin神戸」についても紹介があった。
 加えて、11月22日に開催される「世界健康フォーラム」についても開催内容と参加者募集の紹介があった。