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■2017年10月 No.553 |
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病気療養のため休職中の従業員が、業務によるものとして労災保険の給付請求をしています。審査が長引いており、労災適用が認められるかどうか確定していません。このような状況での傷病手当金請求の取り扱いについて教えてください。 |
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健康保険の傷病手当金は、業務外の私傷病の療養のため労務不能となり、報酬を得ることができない場合に被保険者の生活の安定を図るための制度です。したがって業務上の傷病により労務不能となった場合の給付はできません。
しかしながら業務上の傷病、負傷にあたるかどうかは、病歴、職歴、職場環境など多くの調査事項があり、決定がなされるまで長い時間がかかることが一般的です。そして結果的に業務上の事由と認められない場合もあります。傷病手当金の請求にかかる時効は2年間となっていることから、今回のように労災保険請求をしたが、労災保険の認定が確定していない審査期間中における健康保険の給付申請が認められています。
健保組合で給付申請を受理後、労災保険の確定前に給付を開始するかどうかは、個々の事情により慎重な判断が求められます。
給付を開始する場合は、労災保険が適用されることも考慮し、支給した傷病手当金の返還について書面で取り交わす等、事前に被保険者、事業主へ事務手続きをよく説明しておくことが大切です。
また、労災保険の決定通知は請求者あてに送付されますので、後日、被保険者本人、家族等からその写しを提出してもらい、結果を確認することとなります。 |
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