 |
介護納付金の総報酬割導入を盛り込んだ介護保険法等改正法が5月26日、参議院本会議で可決、成立した。今年8月分から2分の1導入で開始、段階的に拡大、平成32年度から全面総報酬割になる。健保連はこれまで、「総報酬割導入は制度創設時の理念に反するだけでなく、国庫補助削減の財源を健保組合等の介護保険料に肩代わりさせるもの」と断固反対してきた。改正法の成立を受けて、大塚健保連会長は29日、断固抗議するとのコメントを発表した。 |
|
5月26日に成立した介護保険法等改正法による介護納付金の総報酬割の導入スケジュールは次のとおり。▽平成29年8月分から2分の1(満年度換算で3分の1) ▽30年度=2分の1 ▽31年度=4分の3 ▽32年度=全面総報酬割
また、これに合わせて総報酬割部分に上限を設け、第2号被保険者1人あたりの報酬が高い保険者の負担を軽減し、上限を超える費用を被用者保険全体で加入者割により再按分する措置も導入された。
さらに、29年度政府予算で、上限を下回る保険者の再按分の負担の全部または一部を助成するため、介護納付金負担助成事業費が設けられた。交付基準等は追って示される。
これらは、31年度までの時限措置。 |
 |
|
 |
介護保険法等改正法の成立にあたって |
 |
5月26日の参院本会議において介護納付金の総報酬割導入を盛り込んだ「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部改正法」が可決され、成立した。
健保連は、介護保険制度の持続性を高める観点から、介護給付費の重点化・適正化を求めるとともに、介護納付金の総報酬割導入に断固反対してきたが、政府案通りに成立したことには強い憤りを覚える。
介護納付金の総報酬割導入は、制度創設時の理念に反するだけでなく、国の財政対策のために協会けんぽの国庫補助削減の財源を健保組合等の介護保険料に肩代わりさせるものにほかならない。我々をはじめとする関係者の強い反対を押し切り、合理性も納得感もないまま実行されることに断固抗議する。
改正法には3年間の負担軽減策も盛り込まれたが、全面総報酬割による健保組合の負担増はおよそ1100億円にのぼり、負担増は年々拡大していく。健保組合財政は増嵩する高齢者医療への拠出金負担によって危機的状況に陥っており、これ以上の負担増は解散リスクを一層高め、健保組合の存続自体を揺るがす事態になりかねない。健保組合の解散は、協会けんぽへの移管を通じて逆に国庫負担を増やすこととなるという事実を直視すべきであろう。
一方、今国会の法案審議のなかでは、与野党を問わず総報酬割により大幅な負担増となる健保組合を憂慮する意見も多く聞かれた。審議のなかで指摘されたように、負担が急増する保険者への負担軽減策の継続・拡充や、将来的な制度の見直しについても、引き続き検討するよう、強く求めたい。
将来に亘り安定した社会保障制度を構築するためにも、政府は、安易に現役世代や企業の負担ばかりに頼るのではなく、国民が真に安心・納得できる制度改革を実行すべきである。取れるところから取るという安易な手法を再び繰り返していては、将来に禍根を残すということを認識すべきである。 |
|
|
 |