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経済・財政計画 改革工程表 |
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1月25日の社保審医療保険部会で、 平成27年12月に政府がまとめた「経済・財政再生計画 改革工程表」での28年末検討期限の事項への対応について、厚労省から説明があった。
「改革工程表」で求められていたのは、@70歳以上の高齢者にかかる高額療養費の見直しA入院時の居住費(光熱水費相当額)にかかる患者負担の見直しB金融資産等の保有状況を考慮した負担のあり方Cかかりつけ医の普及の観点からの外来時定額負担DスイッチOTC化された医療用医薬品にかかる保険償還率のあり方―の5点。
このほか、後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、子ども医療費助成にかかる国保の減額調整措置のあり方についても、これまで医療保険部会で検討し、28年12月に部会として「議論の整理」を取りまとめた。
このうち、必要な事項は今国会に改正法案提出の運びとなっている。
「改革工程表」は32年度までの検討スケジュールを設定。とくに30年度までを集中改革期間としている。
厚労省関係では「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化」等が検討課題に上っている。 |
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医療保険部会の当面の課題 |
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医療保険部会の当面の検討課題には次の事項があり、今後議論される。▽30年度診療報酬改定の基本方針 ▽「改革工程表」2016改定版の懸案事項 ▽任継制度の見直し ▽データヘルス改革
高齢者医療制度のあり方、医療に要する費用の適正化、医療保険の保険給付の範囲等についても、改革工程表の議論と並行して議論される。 |
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29年度の健保組合拠出金 |
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厚労省は、29年度予算における医療保険制度別の拠出金額をまとめた。
健保組合(精算額含む。カッコ内は対前年度増加率)は、後期高齢者支援金1兆8200億円(9.0%増)、前期高齢者納付金(退職拠出金含む)1兆6900億円(5.6%増)。拠出金合計3兆5100億円(7.3%増)。 |
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支援金の加算・減算制度 |
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特定健診・保健指導の実施状況に応じて後期高齢者支援金を加算・減算する仕組みが、高齢者医療確保法で規定されている。
現行制度では、特定健診または保健指導の実施率が0.1%未満の保険者が加算対象。加算率は支援金の0.23%となっており、それを減算対象保険者に割り振る。
26年度の状況をみると、規模は7600万円。このうち健保組合は、加算が単一94組合(4700万円)、総合11組合(1200万円)。減算が単一72組合(1700万円)、総合17組合(1800万円)だった。
30年度から特定健診・保健指導制度の第3期に入るにあたり、政府・与党は、予防・健康づくり等に取り組む保険者へのインセンティブ強化の観点から、加算・減算制度の見直し等を閣議決定している。 |
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「中間サーバー」で要望 |
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健保連は2月6日、番号制度の運用にかかる中間サーバーの運営コスト負担について、大塚会長名で塩崎厚労大臣あてに要望書を提出した。
医療保険制度と番号制度をリンクするため、支払基金に中間サーバーが設置された。しかし、運営コストの保険者負担額の費用対効果がそぐわず、コスト削減の声が高まっていた。
要望書では、中間サーバーの運営体制合理化によるコスト削減と、医療・医療保険分野での活用の具体的内容、実施時期の明示を求めた。 |
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医療費の動向 |
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28年4〜8月の日数補正後の医療費は、診療報酬改定の影響もあり、全体では対前年度比1.1%増で、落ちついた伸び率を示した。被用者保険本人の医療費は、人員増の影響で4.5%増と伸び率が高い。
28年8月の後発医薬品使用割合(数量ベース)は、7月より0.4ポイント上昇して66.2%となった。 |