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社会保障審議会医療保険部会に設置されている柔道整復療養費検討専門委員会は2月15日、厚労省が提示した柔整療養費適正化の強化策を了承した。不正防止対策として、保険者、地方厚生(支)局などの機能・連携強化を図り、不正の疑いが強い請求は保険者が裏づけとなる証拠収集を行い、地方厚生(支)局が優先的に処理する仕組みを構築することなどをあげた。平成29年度からの実施をめざす。 |
柔整療養費の適正化については、平成27年に暴力団がらみの不正請求事件が社会問題化したこともあって、財政制度等審議会が財政健全化に向けた取り組みとして、あらためて柔道整復師に対する給付のあり方の見直しを提言している。
これらを受けて昨年、社保審医療保険部会の柔道整復療養費検討専門委員会で検討が進んでいた。このほど専門委員会がまとめた適正化の強化策のうち、次の8項目は29年度からの実施をめざすとしている。
@「亜急性」の文言の見直しA支給基準の明確化を図るため、判断に迷う事例の収集および公表B「部位転がし」等の重点的な審査の実施に向けた審査基準の策定C柔整審査会(協会けんぽ、国保が設置)の権限を強化し、不正請求の疑いが強い施術所に資料の提出や説明を求める仕組み構築
D地方厚生(支)局における個別指導・監査の迅速化、「受領委任の取り扱いの中止」を確実に運用する仕組みE保険者や柔整審査会が施術所に対して領収書の発行履歴その他通院の履歴がわかる資料の提示を求めることができる仕組みF事業者等に金品を提供し、患者の紹介を受け,その結果なされた施術を療養費支給の対象外とするG支給申請書様式の統一――。
保険者にとっては、いずれも当然必要な事項だ。
@「亜急性」の定義の明確化については、現時点でまだ議論が残っているが、厚労省は@〜Gについて次のように必要な通知等の改正、整理を行う。
@留意事項通知の改正A事例集の策定、柔整審査会設置要項の改正、審査要領の改正B審査基準の策定、柔整審査会設置要項の改正、審査要領の改正C協定・契約の改正、柔整審査会設置要項の改正D指導監査要綱の改正E、F協定・契約の改正G指定様式(協定・契約および記載要領)の再周知――。
29年度実施予定項目のほか、施術管理者の要件に研修受講、実務経験を付すことや、電子請求のモデル実施を行うことについて、できるだけ早期実施をめざすとした。
さらに、不適切な広告是正の検討を継続的に実施する、長期・頻回事例のデータ収集、柔整・「あはき」併給の実態把握を次期改定に向けて調査する、負傷原因の1部位目からの記載と、問題のある患者に対して償還払いしか認めない権限を保険者に与えることについて引き続き検討する、と整理した。 |
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「あはき」受領委任払い 導入に保険者側が猛反発 |
一方、社保審医療保険部会の「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」では、受領委任払い導入をめぐり、施術者側と保険者側の意見が対立したままの状態となっている。
施術者側が、不正防止対策として行政の取り締まり策を受け入れると同時に、柔整と同様の受領委任払い制度の導入を主張。これに対して、健保連はじめ保険者側は、受領委任払いは不正の温床となり適正化の流れに逆行することから、従来の償還払いにより適正化をさらに推進すること、と猛反発。議論は平行線をたどっている。 |
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柔道整復、はり・きゅう、マッサージにかかる療養費の推移(推計) |
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