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平成29年度政府予算案 |
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平成29年度政府予算案が決定した。
厚労省関係では、昨夏の概算要求より1400億円削減された。これにより、高齢化による社会保障費の自然増の伸びを年間5000億円程度に抑えるという政府目標を達成した。
削減策のなかで、29年8月分からの介護納付金の2分の1総報酬割導入により、440億円減の削減効果を見込んでいる。これは、削減額1400億円のなかでは、金額が最も多い。他は医療費適正化策による。 |
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健保組合助成費 |
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29年度予算案には、総額816億9015万円の健保組合助成費が計上された。28年度予算対比353億7794万円増の大幅な増額となっている。
高齢者医療支援金等負担金助成事業費のうち、前期高齢者納付金が激増した健保組合への負担軽減を図る「拡充分」が、202億円から600億円に増額となったのが影響した。
増額は、後期高齢者支援金の総報酬割を決めた27年5月の医療保険制度改革関連法成立時の参議院附帯決議に沿った措置。
前期高齢者納付金と後期高齢者支援金を合計して、負担の重い健保組合を助成する「既存分」は、160億円から120億円に減額された。
新規事業として、健保連に対して、特定健診・保健指導データ管理システム等システム改修費14億1791万円が計上された。制度の第3期(30年度〜)を控え準備のため。
このほか、特定保健指導等支援の共同事業費は、28年度減額分が復活、1億4921万円増の3億1610万円となった。 |
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大塚健保連会長コメント |
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健保連の大塚会長は昨年12月26日、政府が29年度予算案に合わせて医療・介護保険制度改革案を固めたのにあたり、コメントを発表した。
介護納付金の総報酬割については、「国の財政対策のために協会けんぽの国庫補助を削減し、健保組合等の介護保険料に肩代わりさせることがねらいであり、引き続き導入には強く反対する」としている。
また、政府に対しては、社会保障全体の展望を描き、現役世代が真に安心・納得できる医療保険・介護保険制度改革を実現するよう強く要望している。 |
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介護納付金の総報酬割 |
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政府案によると、介護納付金の総報酬割は、29年8月分から段階的に導入し、32年度から全面総報酬割に移行する(本号「納付金の総報酬割 8月から導入 32年度に全面移行」ページに詳細)。
厚労省は、総報酬割導入にあたり、@介護納付金(総報酬割部分)の上限設定A国庫補助金の導入―による負担軽減策を示している。財源は国庫補助金によるほか、被用者保険者間の負担調整による再按分で捻出するとしている。
被用者保険者への国庫補助金の合計は約94億円。うち健保組合へ約68億円。上記(2)の健保組合助成費とは別枠で29年度政府予算案に計上された。 |
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薬価改革へ向けた中医協方針 |
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中医協は昨年末までに、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針案をまとめた。
従来、薬価改定は、診療報酬改定と合わせて2年に1回行われているが、年4回薬価を見直す。また、薬価改定の基礎資料である薬価調査については、その間の年も大手事業者等を対象に調査を行う―というもの。具体的内容は、29年中に中医協で結論を得るとした。 |