広報誌「かけはし」
 

■2017年2月 No.545



 政府・与党は、介護保険法等改正案を通常国会に提出、介護納付金の総報酬割を平成29年8月分から2分の1導入、段階的に拡大して32年度から全面実施するとしている。29年度政府予算の関連法案と位置づけた。予算案には、介護納付金の総報酬割導入にともなう保険者の負担増緩和のために、新たに健保組合等へ約94億円を補助する介護納付金負担助成事業費が盛り込まれた。

 介護納付金の総報酬割導入については、昨年暮れに社保審介護保険部会が意見書をまとめている。意見書では、「多くの委員から賛同する意見が出された」とする一方、「強く反対する意見が相当数あった」と両論を併記した。
 意見書には、仮に総報酬割を導入する場合の段階的実施や、負担増となる健保組合を支援すべきとの意見も明記された。
 介護保険法等改正案は予算関連法案として通常国会に提出。改正案では、介護納付金の算定方法を段階的に全面総報酬割へ移行するとした。29年8月分から2分の1(満年度換算で3分の1)総報酬割で導入し、30年度=2分の1、31年度=4分の3、32年度=全面総報酬割と拡大する。
 また、総報酬割導入に合わせて、介護納付金の総報酬割部分に上限を設け、第2号被保険者1人あたりの報酬が高い保険者の負担を軽減し、上限を超える費用を被用者保険全体で加入者割で再按分する措置も導入された。
 平成29年度予算案には、上限を下回る保険者の再按分の負担の全部、または一部を助成するため、新規事業として介護納付金負担助成事業費を盛り込んだ。これらの負担軽減措置は、全面総報酬割に至る31年度までの時限措置。
 初年度の29年度は約94億円で、このうち健保組合へ約68億円を見込んだ。補助金の交付基準等は、予算ならびに介護保険法等改正案の成立を経て示される。
 厚労省の26年度決算見込みベースによる試算では、3分の1総報酬割導入により被用者保険者の負担は、健保組合320億円増、共済300億円増、協会けんぽ620億円減(国庫補助額480億円減、国費充当後140億円減)と変化する。
 負担増となる保険者(カッコ内は被保険者数)は、健保組合1030組合(923万人)、共済84組合(349万人)。逆に負担減となるのは、健保組合379組合(215万人)、共済1組合(1万人)、協会けんぽ1団体(1437万人)となっている。
 
健保組合助成金は大幅増
 介護納付金負担助成事業費が予算案に計上されたが、これ以外の健保組合助成金は、特別会計分2億6316万円を含めて総額816億9015万円。28年度予算(463億1222万円)対比で2倍近い大幅増額となった。
 このうち最も金額が多く、前年度予算比の伸び率が大きかったのは、738億7700万円となった高齢者医療支援金等負担金助成費。前年度の381億4628万円より357億3072万円増(93.7%増)の大幅な増額となった。
 増額のおもな要因は、29年度からの後期高齢者支援金の全面総報酬割導入により、これに合わせて拠出金負担の重い保険者への財政支援拡充策が図られたため。内訳は、「既存分」が160億円から120億円に圧縮された一方、前期高齢者納付金の伸び率等に着目した「拡充分」が202億円から600億円と大幅に増額された。
 高齢者医療支援金等負担金助成費のなかには、28年10月からの短時間労働者の適用拡大にともなう財政支援事業費として、18.3億円が計上されている。
介護納付金総報酬割導入のスケジュール案