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社保審医療保険部会 |
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平成29年度政府予算関連項目の見直しの方向性について、各審議会で検討された。政府はこれを受けて、来年度予算案に反映するとともに、必要に応じて制度改正を行う。医療保険部会のまとめの概要は次のとおり。
@高額療養費制度 70歳以上の外来負担限度額を、69歳以下と同額に引き上げる。年収による限度額区分も69歳以下と同様にする。
A保険料軽減特例 後期高齢者の保険料軽減特例を廃止する。
B入院時光熱水費相当額の患者負担 医療療養病床に入院する65歳以上の患者に、光熱水費相当額の負担を求める。
C任意継続被保険者制度 健保連の主張のように、加入要件を2カ月から1年とすること、被保険者期間を最大2年から1年とすることを検討した。しかし、この問題は国保と被用者保険の適用範囲に関わることや、法改正が必要なこともあり、引き続き検討することとされた。 |
(2) |
社保審介護保険部会 |
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@介護納付金の総報酬割
「負担能力に応じて応分の負担を求める」という近時の社会保障改革の考え方等を踏まえ、全面総報酬割を導入すべきとの意見が多数あった。
ただし、保険者の負担増については、激変緩和の観点から、総報酬割の段階的導入はじめ、支援のあり方の検討が必要とされた。
健保連は、引き続き総報酬割に断固反対の姿勢である。
全面総報酬割導入による負担増減額(厚労省の粗い試算、29年度概算要求ベース)は次のとおり。協会けんぽ△2100億円(うち国庫補助額△1600億円)、健保組合1100億円増、共済組合1000億円増。
A介護サービスの利用者負担
現行の利用者負担割合は、原則1割、一定以上所得者2割となっているが、医療保険と同様にすることを引き続き検討する。高額介護サービス費について、一般区分の負担上限額を医療保険並みに引き上げる。 |
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医療費の動向 |
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28年4〜5月の医療費(日数補正後)をみると、総額は対前年度比0.5%増で、比較的低い伸び率だった。このうち、被用者保険本人は4.0%増と高い。人員増の影響とみられる。
1人あたり医療費は、被用者保険本人が2.1%増、国保が2.2%増、75歳以上が1.8%減などとなっている。
27年5月の後発医薬品使用割合(数量ベース)は65.2%。29年度半ばまで70%とする政府目標に近づいた。 |
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健保連本部の事業計画方針 |
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健保連本部の29年度事業計画の骨子は、健保組合全国大会での決議とスローガンに沿い、「医療・介護保険制度の改革に向けた対応」などを、次年度1年間の活動指針としている。
本部会費は据え置きとすることを、組織等委員会で了承された。 |
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緊急支援事業 |
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28年10月から、短時間労働者の健保適用拡大が実施されたのにともない、負担増の影響が大きい組合を対象に、本部の交付金交付事業のなかで緊急支援事業を開始する。対象年度は28、29年度。交付組合には、保険料率、資産など、一定の条件が付される。また、国の補助金との区別も行われる。 |