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平成29年度政府予算編成と健保連の対応 |
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財務省に各省から8月末、平成29年度予算概算要求が提出された。
厚労省は31兆円強だったが、高齢化にともなう増加額は6400億円となっており、政府目標の5000億円増に抑えるには1400億円超過している。
このため、医療・介護制度改革や、健保組合助成への影響が懸念される。われわれは、これを念頭に置いた対応が必要だ。当面の医療保険制度改革課題は次の7点となっている。
@高額療養費の見直しA後期高齢者の保険料軽減特例B入院時食事・生活療養費C金融資産等を考慮した患者負担D入院時の光熱水費の患者負担E有効成分が一般用に転用された医療用医薬品(スイッチOTC)F任継制度の見直し
(このうち、@、A、Fは、前回理事会で報告済み) |
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社保審医療保険部会 |
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@入院時食事・生活療養費
一般患者の入院時食事療養費、および65歳以上の療養病床入院患者の生活療養費について検討されている。健保連は、長期入院患者の自己負担を強化すべきとしている。
A金融資産を考慮した患者負担
低所得者の施設入所費用のうち、食費・居住費負担は軽減されている。しかし、預貯金の保有状況も勘案するなど、資産要件を見直してはどうかとの議論がある。
B外来時定額負担
かかりつけ医の普及の観点から、外来時定額負担を検討してはどうかとの議論がある。健保連は総合診療医の推進、日本医師会は複数の専門開業医をかかりつけ医と位置づけており、意見に隔たりがある。
CスイッチOTC
OTCとはオーバー・ザ・カウンターの略。スイッチOTCは、医療用医薬品の有効成分が一般用に転用されたもの。これについて、患者負担を引き上げ、保険給付率を引き下げる議論がある。
健保連は、保険給付対象からはずすべきと、適正化を求めている。 |
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社保審介護保険部会〈介護納付金の総報酬割〉 |
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介護納付金の総報酬割については、「社会保障改革プログラム法」で検討事項と明記され、28年末までに審議会で結論を得るとされている。
10月27日の部会では、総報酬割を導入した場合の各保険者の負担額変化について、厚労省から説明があった。
それによると、健保組合の負担は、全面総報酬割の場合980億円増、2分の1の場合490億円増、3分の1の場合320億円増となる。
健保連は総報酬割に断固反対。経団連と日商も反対、連合は時期尚早としている。 |
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社保審介護給付費分科会〈介護人材の処遇改善〉 |
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21年度以降これまで、介護報酬改定などにより、月額4万3000円相当の増額措置が行われている。
しかし、月額給与(賞与込み)の現状は、全産業平均36万2000円、対人サービス業27万4000円に対して、介護職員は26万2000円で、まだ低い。
6月に閣議決定された「一億総活躍プラン」では、月額1万円引き上げることとしている。試算すると、健保組合は約90億円の負担増が見込まれる。 |