広報誌「かけはし」
 

■2016年12月 No.543



 11月2日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。

1. 中央情勢

(1) 平成29年度政府予算編成と健保連の対応
   財務省に各省から8月末、平成29年度予算概算要求が提出された。
 厚労省は31兆円強だったが、高齢化にともなう増加額は6400億円となっており、政府目標の5000億円増に抑えるには1400億円超過している。
 このため、医療・介護制度改革や、健保組合助成への影響が懸念される。われわれは、これを念頭に置いた対応が必要だ。当面の医療保険制度改革課題は次の7点となっている。
 @高額療養費の見直しA後期高齢者の保険料軽減特例B入院時食事・生活療養費C金融資産等を考慮した患者負担D入院時の光熱水費の患者負担E有効成分が一般用に転用された医療用医薬品(スイッチOTC)F任継制度の見直し
 (このうち、@、A、Fは、前回理事会で報告済み)
(2) 社保審医療保険部会
   @入院時食事・生活療養費
 一般患者の入院時食事療養費、および65歳以上の療養病床入院患者の生活療養費について検討されている。健保連は、長期入院患者の自己負担を強化すべきとしている。
 A金融資産を考慮した患者負担
 低所得者の施設入所費用のうち、食費・居住費負担は軽減されている。しかし、預貯金の保有状況も勘案するなど、資産要件を見直してはどうかとの議論がある。
 B外来時定額負担
 かかりつけ医の普及の観点から、外来時定額負担を検討してはどうかとの議論がある。健保連は総合診療医の推進、日本医師会は複数の専門開業医をかかりつけ医と位置づけており、意見に隔たりがある。
 CスイッチOTC
 OTCとはオーバー・ザ・カウンターの略。スイッチOTCは、医療用医薬品の有効成分が一般用に転用されたもの。これについて、患者負担を引き上げ、保険給付率を引き下げる議論がある。
 健保連は、保険給付対象からはずすべきと、適正化を求めている。
(3) 社保審介護保険部会〈介護納付金の総報酬割〉
   介護納付金の総報酬割については、「社会保障改革プログラム法」で検討事項と明記され、28年末までに審議会で結論を得るとされている。
 10月27日の部会では、総報酬割を導入した場合の各保険者の負担額変化について、厚労省から説明があった。
 それによると、健保組合の負担は、全面総報酬割の場合980億円増、2分の1の場合490億円増、3分の1の場合320億円増となる。
 健保連は総報酬割に断固反対。経団連と日商も反対、連合は時期尚早としている。
(4) 社保審介護給付費分科会〈介護人材の処遇改善〉
   21年度以降これまで、介護報酬改定などにより、月額4万3000円相当の増額措置が行われている。
 しかし、月額給与(賞与込み)の現状は、全産業平均36万2000円、対人サービス業27万4000円に対して、介護職員は26万2000円で、まだ低い。
 6月に閣議決定された「一億総活躍プラン」では、月額1万円引き上げることとしている。試算すると、健保組合は約90億円の負担増が見込まれる。

2. 本部委員会報告

(1) 診療報酬対策委員会
   10月17日に開催。支払基金との29年度契約交渉に向けた対応を検討した。同日の委員会では、基金側から28年度契約時の健保連要請事項の進捗状況等について説明を受けた。
 その後の審議では、基金に対して業務効率化、組織体制の見直し、手数料引き下げなどを、引き続き強く求めていくこととした。
(2) 交付金交付事業委員会
   10月19日に開催。短時間労働者に対する適用拡大にかかる緊急支援事業を、28年度から実施するためのタタキ台が提示され、意見交換した。次回委員会で詰めの検討を行う。

3. 大阪連合会活動

(1) 広報委員会
   10月25日に開催。かけはし11月号の編集概要について報告された。
(2) 報告事項
   川隅専務理事から、11月29日開催の健保組合全国大会関連の報告があった。現状で128組合、200人の参加予定があり、昨年を上回っている。
 また、全国大会終了後に大阪選出国会議員への要請活動を実施するため、協力要請があった。