広報誌「かけはし」

■2016年12月 No.543


ポジティブ思考で楽しく健康な毎日を!
−具体的手法を実践しよう−

 11月16日、薬業年金会館で心の健康講座を開催。龍谷大学 保健管理センター 教授 須賀 英道氏が「ポジティブ思考で楽しく健康な毎日を! 具体的手法を実践しよう」をテーマに講演されました。参加数は、46組合・70人(以下に講演要旨)。
 

 

須賀 英道 氏
 日常生活のなかでうまく対処できない状況を、だれもが経験します。そこでは、たちはだかる多くの課題を解決しようといつも考えますが、100%状況が進展するとは限りません。なぜなら、解決法がみつからない場合が多いからです。
 うまくいかない状況にいると、気分は落ち込み、やる気をなくし、できない自分への否定感情が生じ、さらに気分が落ち込んでいくのです。これこそがうつ状態にはまっていくスパイラルです。こんなとき、どうしたらいいのでしょうか。
 まず、発想の転換です。問題点をみつけ解決するといった従来の方向性(問題解決指向)から、よいところをみつけ伸ばすといった方向性(ウェルネス指向)への発想転換です。

ウェルネス指向とはポジティブ思考の基本的視点
 みなさんは病気や問題を抱えた状況へ、自己あるいは他者をどうとらえますか。
 よくある視点は、病気や問題を抱えた人に対して「問題」な人という全体評価です。障害者や病人、試験に落ちた落第者など、個人のもつ問題点の指標から全体評価をする視点です。
 別の見方は、人が病気や問題を抱えていても他の側面に目を向け、とくに強みや才能をみいだす視点です。
 前者では、個人の特性として強みや才能を持っていても「問題」な人という全体評価をすると、強みや才能に気づきにくい。一方、後者では、自己の持つ強みや才能を磨くことが重視され、成長していくことにも気づくようになります。
 このことから、抱えていた病気や問題点が自分の人生にとって相対的に過小となり、解決の優先順位も低くなっていきます。
 自らの強みや才能に気づかせ、磨きをかける場が、まさに毎日の日常生活の時間と空間、対人関係です。
 人が自分の才能を伸ばし、強みに磨きをかけているときは、自分の問題点・欠点の修正に時間をかけていることに比して、明らかに楽しく、やりがいを感じる。これこそが一生懸命になれることであり、生きる楽しさへの目覚めです。
 生きる楽しさを実感できることから人生目標へのモチベーションが高められるのです。
 それでは実際に、毎日の日常生活のなかで、どのようにウェルネス指向を目覚めさせるか? ウェルネス指向を達成させるために、私はポジティブ心理学理論を基本に実践プログラムを作成しました。

ウェルネス指向の実践プログラム
 (1)ポジティブシンキングの気づき (2)楽しい会話における笑顔の充足 (3)自己の強みの気づきと向上(自己再発見) (4)一生懸命夢中になれる行動の気づきと行動 (5)感謝ワーク (6)他者への無欲な親切 (7)目標と価値観の明確化 (8)自己評価と自己肯定(自分を好きになること) (9)人との絆からコミュニケーション(社会的ネットワーク)の拡大
 このウェルネス指向の実践プログラムの詳細は、「幸せはあなたのまわりにある ポジティブ思考のための実践ガイドブック」(金剛出版)にわかりやすく解説されています。
 日常生活のなかで、だれもが毎日体験していることから活用できるようになっています。ぜひ、お読み下さい。きっと目の前が一気に開けてくるでしょう。

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