広報誌「かけはし」

■2016年10月 No.541


 厚労省はこのほど、平成27年度の概算医療費(速報値)をまとめ、公表した。総額は前年度より約1.5兆円増えて、41.5兆円となった。伸び率は3.8%増で、過去5年間で最も高かった。とくに、調剤医療費が9.4%増で、著しく高い伸びを示している。医療保険制度別で伸び率が高いのは、被用者保険本人の医療費の6.4%増、75歳以上の医療費の4.6%増などが目立つ。
 厚労省が公表した概算医療費は、労災や全額自費などの費用を含まない平成27年度の医療費の合計。毎年、別に公表される国民医療費の約98%にあたる。
 平成27年度の概算医療費は、前年度より約1.5兆円増加して41.5兆円となった。対前年度伸び率は3.8%増(休日数補正後3.6%増)で、過去5年間で最高の伸びを示した。
 伸び率を75歳未満と75歳以上に大別してみると、75歳未満が3.3%、75歳以上が4.6%で、後期高齢者医療費の伸び率が高い。75歳未満をさらに制度別に分けてみると、被用者保険本人が高く6.4%、同家族が3.2%、国保が1.8%だった。
 診療種類別にみると、「調剤」が9.4%増で高い伸び率を示した。「調剤」は、院外薬局での投薬が定着したこともあって、このところ伸び率は、一時より沈静化していた。急増に転じたのは高額薬剤の利用が拡大しているのも一因とみられる。
 「医科入院外」は3.3%増、「医科入院」は1.9%増、「歯科」は1.4%増となっている。
 医療費総額41.5兆円を医療保険制度別に分けてみると、75歳未満の医療費が24.2兆円(内訳=被用者保険12.2兆円、国保12.0兆円)、75歳以上の後期高齢者の医療費が15.2兆円、公費が2.1兆円だった。
 医療機関の種類別にみると、医科・病院22.0兆円、医科・診療所8.6兆円、歯科2.8兆円、保険薬局7.9兆円となっている。
 都道府県別に医療費総額をみると、大阪は東京(約4.4兆円)に次いで第2位(約3.2兆円)。伸び率は第9位(4.1%増)だった。伸び率が高かったのは、関東地区の各都県。近畿地区では奈良(4.4%増)がトップとなっている。
 推計平均在院日数の全国平均は30.5日。大阪は29.1日で、全国平均をやや下回ったが、ほぼ平均並みとなっている。最も長いのは高知の44.6日。以下、鹿児島(43.7日)、山口(43.1日)、佐賀(41.7日)、徳島(40.6日)で、西日本の各県の在院日数が長いことがわかった。
医療費と対前年度伸び率の推移