広報誌「かけはし」
 

■2016年9月 No.540



 国立社会保障・人口問題研究所はこのほど、平成26年度の社会保障給付費を公表した。それによると、年金、医療、福祉・介護などに対する社会保障給付費総額は、前年度より1兆3970億円増えて112兆1020億円となった。このうち、最も多かったのは「年金」の54兆3429億円で、給付費全体の48.5%を占めた。次いで「医療」36兆3357億円(構成比32.4%)となっており、高齢化の影響を反映している。

 社会保障給付費は、社会保険料や税などを財源とした費用の合計額で、平成26年度には112兆1020億円が給付された。
 内訳をみると、最も多かったのは「年金」の54兆3429億円で、全体の48.5%を占めた。ちなみに26年10月現在、65歳以上の高齢者人口は3300万人で、全人口の26.0%を占めている。
 次いで多かったのは「医療」の36兆3357億円で、構成比は32.4%となっている。以下、「福祉その他」の21兆4234億円(同19.1%)。このうち、「介護対策」が9兆1896億円を占めている。
 前年度給付費との比較では、総額は1.3%増加した。内訳は、「医療」2.0%増、「福祉その他」4.6%増(うち介護対策4.6%増)。65歳以上の人口が前年度より3.5%増えており、高齢化の影響が給付費の増加に反映した。
 しかし、「年金」は0.5%減となっている。これは、25年10月からの支給額引き下げが満年度化した影響による。
 一方、社会保障給付費を財源の項目別に分けてみると、厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料などの「社会保険料」が最も多く、65兆1513億円となっている。「公費負担」は44兆8373億円だった。資産収入など「他の収入」は26兆5843億円。
 国民1人あたりの社会保障給付費は年間88万2100円。GDPに対する社会保障給付費の割合は22.9%。対GDP比割合は、2年連続で低下した。
 平成22年を100とした社会保障給付費の伸びをみると、総額は106.4だったが、部門ごとでは「医療」109.5、「年金」102.6、「福祉その他」111.5、「福祉その他」のうち「介護対策」122.4となっており、「介護対策」の給付費の伸びが目立つ。
 同じ指標での65歳以上高齢者人口は112.8となっており、高齢化の進展にともなって、社会保障給付費が着実に増加していることが裏づけられた。
 施設整備費の個人に帰着しない支出を社会保障給付費に加えた26年度の「社会支出」は、116兆8532億円。25年度は115兆4337億円で、対GDP比割合は23.93%だった。
 あわせてOECD諸国の割合も公表された。フランス31.73%、スウェーデン27.78%、ドイツ26.26%、イギリス23.12%、アメリカ19.02%などとなっている。