広報誌「かけはし」
 

■2016年7月 No.538



 6月15日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。

1. 中央情勢

(1) 医療保険制度改革関連
   消費税率引き上げ時期の2年半延期方針が示された。これにともない、高齢者医療費の負担構造改革についても、活動の見直しが必要である。
 また、骨太の方針2015で、高齢化による国の社会保障費の支出増加を平成30年度まで年間5000億円に抑えるとしているが、財源捻出がさらに重圧となって、社会保障関係施策に影響するとみられる。8月末の29年度予算概算要求を注視したい。
 健保組合にとっては、短時間労働者の適用拡大にかかる激変緩和策、国の被用者保険運営円滑化助成金への影響も懸念される。
(2) 特定健診・保健指導の効果測定シュミレーションツール
   厚労省の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」で、このほど開発されたツールについて説明された。
 糖尿病、高血圧、脂質異常症の生活習慣病3疾患関連の入院外医療費を分析するもの。これまでに、特定健診を受診し保健指導を受けたグループと、そうでないグループを5年間追跡調査。健診数値の改善効果や、入院外医療費削減効果において、指導実施グループの優位性が検証されている。
(3) 健保組合のがん検診実施状況
   厚労省の「がん検診のあり方に関する検討会」で報告された。健保組合のがん検診の実態を詳しく調べたのは初めて。
 各種がんの検診実施率は、高い順から大腸がん、胃がん、子宮頸がん。被保険者向けと被扶養者向けの両方で同じ順位だった。
 また、各種がんの検診ともに「実施している」と答えた健保組合の割合は、総じて高くなっている。
 調査は、各種がんの精検受診率も調べており、今後、要精検者への積極的な受診勧奨が求められている。
(4) 審査・支払機関の改革
   「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」の第2回会合が、5月23日に開かれた。
 この日は支払基金側が出席。「審査・支払業務の効率化と審査支払機関が担う新たな役割について」と題する資料をもとに、自らの改革案を提示した。
 審査の統一性の確保、支部および審査委員会の設置・審査体制のあり方見直しなど、6項目の改善事項が提案された。

(5)

医療費の動向
   27年4〜11月の医療費の伸び率は、対前年度同期比3.6%増で、非常に高い。とくに被用者保険本人が5.7%増で突出している。
 また、この期間中、10〜11月はとくに高く4.4%増、被用者保険本人は7.1%増となっている。
 診療種類別に医療費をみると、入院外の10月3.8%増、11月5.3%増、調剤の10月9.7%増、11月12.1%増が目立つ。調剤医療費の伸びが入院外医療費の伸びにつながっている。
 11月の後発医薬品の使用割合(数量ベース)は60.3%だった。
 26年度の1医療施設あたりの年間平均医療費は病院25.22億円、診療所1.02億円、保険薬局1.35億円。病院・一般病床の平均在院日数は20.8日となっている。

(6)

番号制度の動向
   健保組合は、これから情報連携改修仕様書にもとづきシステム改修に着手する。
 健保連は、すでに国からシステム整備費補助金交付要綱を受理しており、健保組合の基幹システム改修費、統合専用端末にかかる費用として今後、総額36億円の交付を受ける予定である。
 パッケージ型システムを導入している組合は、システム改修にかかる委任状を開発ベンダーに提出する。支払基金に設置される中間サーバーの使用に際しては、健保連が基金と一括契約する。

2. 大阪連合会活動

(1) 広報委員会
   広報委員会から、かけはし6月号の編集概要について報告された。
(2) 医療給付委員会
   5月27日、委員会とレセプト担当部会の合同会議を開催。@部会の正・副部長の決定、A支払基金への要望事項の提出を各組合へ依頼すること、B柔整問題―について審議した。
(3) 報告事項
   川隅専務理事から、5月22日に開催したイベント「健康みらいトークin大阪」の結果報告と、実施にあたってのお礼があった。当日の参加者は660人、内訳は一般500人、健保関係者160人。