■2016年7月 No.538
新しい“こころ”を持つ人々の出現と行動
− 主人公化心理からの説明 −
5月30日、薬業年金会館で心の健康講座を開催。特定非営利活動法人 大学院連合メンタルヘルスセンター 副代表理事 三戸 秀樹氏が「新しい“こころ”を持つ人々の出現と行動 ― 主人公化心理からの説明 ―」をテーマに講演されました。参加数は、43組合・59人。(以下に講演要旨)
三戸 秀樹 氏
過去の労働時間と現在、戦前・戦後間なしの先輩労働者たち
近代におけるわが国の労働史から、現在、最も短い労働時間になっている。
戦前の労働者は、尋常小学校を出た先輩労働者たちだった。殴り、蹴り、上から目線で語り、技は盗めと言った先輩たちだった。今日のように同じ目線で、やさしく教え・導く先輩はほとんどいなかった。
しかし今日、労働現場から聞こえる声の多くは、労働がつらくてしんどいという。なかには、勤務継続が難しくなりはじめ、“鬱っぽく”なる人、勤務のときは低空飛行だけど、カラオケや結婚式二次会ではじける人・・・。新型うつ病といわれる人。すぐキレる人。ぼくの会社・わたしの会社と所有格で言わなくなった人。会社へのクレーマー対応で困っている人。言ってくれたらできるんですと言って、やってもできない人。
いま、労働現場で、いったいなにが起きているのか、正しく理解できていない状況にある。
戦後70年あまりが経過したなか、戦前と戦後間なしの頃の労働者の“こころ”と、現在の労働者の“こころ”が同じでなくなっている。“こころ”はほとんど同じだと解釈し、戦前と同様な入れ物(組織)に労働者を入れ続けているのではないだろうか。
同じでなければ、当然、入れ物である会社や組織の構造や、対応・対処法は変えるべきだろう。
“主人公化”心理を有する人々の出現
この新しい“こころ”を、統一的に「主人公化心理」と称し、説明した。この主人公化心理が理解されないがゆえに、理解を超えた社会現象があちこちで起きているのだと考えた。そして、実は、行動の裏にある“こころ”は共通している。
労働の場以外も多岐多彩に含め、さまざまな場において生起している現象を、主人公化心理で解題した。加えて、主人公化心理の理解度を高めてもらうためにも、さまざまな局面や側面や場でみせる主人公化心理に関して説明した。
この結果へ向かった原因行動“家庭の外化”
主人公化心理へと進んだ背景にある原因について言及し、「家庭の外化」から説明した。具体的には、家庭の外化からみえる近未来家庭に、バラバラ家族となることがみえる場合、路線修正により予防力を有することができることを示した。
家族は一緒、すなわち家族全員で、ときと場所をともにすることが重要で、この「寄り添うこと」からストレス解消(癒し)機能を足元に持つことができることを示した。
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