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厚労省はこのほど、健保組合での各種がん検診の実施状況をまとめた。職域の保険者を対象に、各種がん別の実施状況を調べたのは初めて。被保険者への胃がん検診と大腸がん検診の実施率が90%を超えていた。被扶養者向けの実施率は被保険者向けより低いが、各種がん検診の実施率の順位は同じだった。調査結果は今後、次期がん対策推進基本計画づくりに活用される。 |
「がん検診に関する実施状況等調査」は、厚労省がまとめ、このほど同省のがん検診のあり方に関する検討会に報告したもの。平成26年度の健保組合の各種がん検診実施状況をアンケート調査した。調査対象は1406組合、このうち1238組合(88.1%)が回答した。
まず、被保険者に対する各種がん検診のうち、実施率が最も高かったのは大腸がん検診で、90.2%の組合が実施している。以下、実施率が高かったのは「胃がん」90.0%、「子宮頸がん」83.1%、「乳がん」82.1%、「肺がん」80.7%など。
被扶養者に対しては、「大腸がん」82.3%、「胃がん」80.2%、「子宮頸がん」79.9%、「乳がん」78.1%、「肺がん」75.8%。がんの種類ごとの実施率は、被保険者向けを下回ったが、順位は同じだった。
がんの種類ごとに最も多かった検査方法は、大腸がんでは便潜血検査、胃がんでは胃部エックス線検査(バリウム検査)、子宮頸がんでは子宮頚部細胞診(医師採取)、乳がんでは視触診、肺がんでは胸部エックス線検査だった。また、胃がんの検査では胃内視鏡検査(胃カメラ)、乳がん検査では乳房エックス線検査(マンモグラフィ)の実施割合も高かった。
費用負担は、検診実施組合の50%以上が「一部補助」とした。「全額補助」の組合は、がんの種類によって違いがあるものの30%前後、「補助なし」の組合もあった。
がん検診の周知方法(複数回答)で最も多かったのは、ポスターや広報などで対象者全体に通知しているのが851組合。対象者個人あてにメールや手紙などで通知しているのが464組合で続いている。検診機関が直接対象者に知らせる方法をとっているのが88組合あった。
一方、大半の組合は、がん検診未受診者に対する受診の再勧奨を行っていなかった。また、大半が、がん検診後の要再検者数を把握していなかったのもわかった。その理由としては、「がん検診はオプションの検査項目であるため」とする組合が多く、特定健診のケースとは違いをみせている。
がん検診のあり方に関する検討会では、今年末を目途に、調査結果などを分析、議論して、厚労省のがん対策推進協議会に提言する。これらをもとに協議会では、次期がん対策推進基本計画案を年度末までにまとめる予定だ。 |
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