広報誌「かけはし」

■2016年6月 No.537


 健保連大阪連合会は5月22日、大阪市中央区の大阪商工会議所 国際会議ホールで、「健康みらいトークin大阪」を開催した。この催しは、健康や医療など身近な問題を、広く一般の方がたに考えてもらおうというもの。この日は、市民ら660人が参加。タレントの向井亜紀さんによる特別基調講演や、国会議員などによるパネルディスカッションが行われ、会場を埋めた参加者に健康生活や医療費節減のたいせつさを呼びかけた。
 
小笹定典会長
 「健康みらいトークin大阪」は、健保連が推進する“あしたの健保プロジェクト”の一環として開かれた。医療、医療費、健康など、身近で切実な問題を、広く一般の方がたにあらためて考えてもらおうというもの。
 このような大阪連合会主催の一般向けイベントの開催は初めて。この日は、健保組合関係者はもとより、大阪はじめ近畿各府県から市民ら660人が参加した。
 健康みらいトークin大阪は、大阪連合会の小笹定典会長のあいさつで開会した。小笹会長は「健康であること、元気でいることが、増え続ける医療費を抑えることになり、国の宝・皆保険制度を守ることになる。これを機会に、健康のたいせつさを再認識し、元気の輪を広げていただきたい」と述べた。
心を前向きに、と向井さん
 向井亜紀さんによる特別基調講演のテーマは「夢が 生きる力となる」。向井さんは、テレビ・ラジオ出演、エッセイ執筆、全国での講演会と多忙。ABCテレビ土曜朝の生放送番組「朝だ!生です旅サラダ」出演のために毎週、来阪している。
 向井さんは、子宮頸がんにかかった後、手術を繰り返し受けていまに至った自身の闘病体験を通して、気づいたことを語った。病気の初期には気がめいって、うつになったという。
 しかし、「平均寿命が40歳にも達しないアフリカ諸国では、栄養状態の悪さから新生児・乳幼児死亡率が高く、国民の大半はがんになる前に死んでしまう。それを考えれば、『長寿国・日本にいま生きているからこそ、がんになって死ぬことができる』と、心のもち方を変えてはいかがでしょう」と、ポジティブになることを説いた。
向井亜紀さん
 そして、健康づくりのポイントとして、健診を受診すること、からだの異常を早期に発見すること、身近な人に相談すること―をあげ「大阪から健康寿命を10年延ばすことを発信しよう」と呼びかけた。
パネル「健康で元気な社会のために」
梅村さとし氏
 パネルディスカッションのテーマは「健康で元気な社会のために」。コーディネーターに梅村さとし氏(医師、前参議院議員)。パネリストとして、講演に引き続き向井亜紀さん、太田房江氏(参議院議員 自由民主党)、おだち源幸氏(参議院議員 民進党)を迎えて行われた。
 まず、梅村氏がパネリストそれぞれに健康法をたずねると、向井さんは、基調講演での話の流れから「毎日、からだの内側のいろいろなところに気をつかいながら生活している」と応じた。
 太田氏は、大阪府知事時代の仕事のなかで、いまでも気に入っている標語として「朝食モリモリ、野菜バリバリ、たばこバイバイ、歩いてスタート」を紹介。向井さんの発言を受けて、セルフ・メディケーション(健康の自己管理)を勧めた。
 おだち氏は、太らない方法として、よく噛むこと、食べる量を調整することをあげた。梅村氏は補足して、パネルで示された大阪府健康増進計画の目標「1日あたりの食塩摂取量8g、野菜摂取量350g、歩数・男性1万歩、女性9千歩」を達成することを強調した。
 さらに、梅村氏は「健康づくりにはもう一つ、病気の早期発見、早期治療につながるので、健診をぜひ受診してほしい」として、各パネラーの健診に対する考えを聞いた。
 向井さんは「1日でも早くからだの不安材料を除くために健診が一番大事」。太田氏は「大阪の健診受診率は全国比で男女ともに低い。向上させないと」。おだち氏は「からだの状態を正確に知るために健診は大事。医療保険者から健診の案内があったらすぐ見ていただき、受診を」と答え、3氏ともに健診の重要性で一致した。
太田房江氏
おだち源幸氏
 梅村氏は、いつでも相談できる医師をもっているか問いかけた。これに対して、向井さんは「信頼でき、なんでも相談できる、かかりつけ医と出会うことができれば、状況はガラッと好転する」と体験談。
 太田氏は「これからは『かかりつけ』がキーワード。制度的にかかりつけ薬局もできた。いま国民医療費は40兆円、ムダな医療費を多くつかうと健保組合が困る。本当に必要なときにタイミングよくつかうには、かかりつけ医をもつこと」と強調した。
 おだち氏は「しっかり話を聞いてくれて、的確に答えてくれる医師がほしい。一方で、平均寿命と健康寿命の差が大きいので、これを小さくしたい」と述べた。
 最後に、梅村氏は健康保険のたいせつさや、皆保険を守っていくために必要なことについてたずねた。
 これに対して、太田氏は、@データヘルスを推進して、国が持つ膨大な健康・医療情報をうまく活用し、より健康長寿に役立てること A介護保険の危機を防ぎ、介護予防を地域で行い、要介護者を減らすこと―の2点をあげた。
 おだち氏は、将来世代に負担を残さないように皆保険を守っていく。例えば、もっとジェネリック医薬品の使用促進を図るなど、節約できることは徹底してやっていくこと、と医療費の節減を強調した。
 パネルディスカッションの締めくくりに、梅村氏は「日本の宝として皆保険をしっかりと支えていこう」と呼びかけた。
 健康みらいトークでは、健保連の白川副会長が閉会のあいさつを行った。白川副会長は、健保組合のおもな仕事として@保険者としての医療費の支払い A加入者が健康で長生きするためのサポート B健康保険の仕組みを次世代に残すこと―の3点をあげた。そのうえで「皆保険を守っていくために、医療資源を効率的につかうことを心がけてほしい」と訴えた。
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会場にパネル7点掲示 健康チェックコーナーも
 会場には、「長生きするんやったら 健康やないと…」とキャッチコピーされたパネル(こちらを参照)などパネル3点と、天才バカボンを使用したパネル4点の計7点が掲示され、参加者の注目を浴びた。このうち3点は、掲載内容をまとめリーフレットにして参加者全員に配布された。
 また、会場には、血圧、血管年齢、骨密度を測定する健康チェックコーナーが設けられ、計測までに長蛇の列ができるほどの好評さを博していた。


 「健康みらいトークin大阪」開催前の5月6日〜20日の間、大阪市内を循環するJR大阪環状線で「バカボン電車」が運行された。8両1編成の車内中吊りなどに、健保連が「あしたの健保プロジェクト」で活用している天才バカボンのキャラクターで、9つの「できることアクション」をアピール。同時に「健康みらいトークin大阪」の開催告知を掲載、相乗効果が図られた。