広報誌「かけはし」

■2016年5月 No.536
 
投稿 言わしてんか!聞いてんか!

●高齢者医療と“思いやり保険料”
 

 高齢者医療制度により、退職者給付拠出金は軽減されたけど、対象者が急増。その医療費の増大により、前期高齢者納付金が平成20年度の1兆792億円から、27年度には1兆4668億円と約1.4倍に増加。今後も増大していくことが見込まれ、健保組合関係者の危機感が、これまで以上に募っている。
 前期高齢者の多くは市町村国保に加入している。国保の前期高齢者分の医療費は、被用者保険からの拠出金によって支えられている。ところが、拠出側である私たち健保組合が、医療費そのものの適正化対策等に直接関与できない仕組みとなっている。
 そのため、間接的ではあるが、国保の運営に関して、改善、要望等、拠出側の意向を反映させるための唯一の場として、「国保運営協議会」に被用者保険代表が参加することができるようになった。
 高齢者医療費の財源問題については、最終的には、保険者からの“思いやり保険料”に加えて消費税の福祉目的税によって賄うしか解決策はないと思う。
 一方、拠出金の拠出当事者として、国保運営協議会の活性化や全市町村への設置、被用者保険側の関与強化を求めていくことが必要である。
 当面は国に対して、@拠出金に負担可能な上限を設ける A拠出金を保険料と別建てにする B拠出金決定に保険者が関与する仕組みの早期実現――を強く求めていくことが、抜本改革を生む第一歩ではないか。

(第4地区 KG OB)

   
●100年前、そして100年先
 

 NHKの昨年度後期の連続テレビ小説(通称朝ドラ)「あさが来た」のヒロイン白岡あさのモデル、広岡浅子は当母体創業者の一人。いまから100年以上前の幕末から明治、大正と、激動の時代に大阪を駆け抜けた女性が、「女性活躍」を成長のキーワードとする現代の日本に活力を与えてくれました。少し言い過ぎかもしれませんが…。
 浅子の生涯は、朝ドラに描かれたとおり「七転び八起き」を超える「九転十起」と波乱万丈でしたが、晩年、乳がんを患った浅子は、生命保険事業の創建に関わります。その日暮らしが精一杯だった時代に「将来を見据えた万が一の備え」「相互扶助の精神」という発想。
 浅子の行動は当時の人々からみれば、まさに常識はずれだったのかも知れませんが、いまとなっては、時代の先駆けといえます。
 「万が一の備え」「相互扶助」といえば、いまや空気のようにあたり前となった日本の「皆保険制度」。思わぬ大病や大ケガなどにより自分や家族が入院・手術をしたときに、この制度のありがたさを初めて実感することになります。
 ふだんから健保組合の存在や仕組みを認識してもらえるよう、さらには、健康なときに「健康」に関心を持ってもらえるよう組合員へ働きかけていく必要性を感じます。
 また、足もとでは、保険給付費に加え、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金の額が年々増加、ときには乱高下する状況であり、組合員、事業主、そして健保組合金庫番の負担感は増すばかり。
 10年先、20年先、いや100年先の将来のことを見据えて、日本のよき伝統ともいえる「皆保険制度」が間違った方向に導かれなければよいがと願うばかりです。

(第5地区 T・T)

 
●「マイナンバー」資格確認への期待
 

 特定個人情報関連の規程の制定や予算組合会も終わり、ようやく一息つける時期になったものの、今年も変わらず厳しい予算を組むこととなった当組合。保険料収入が目減りしていく一方で、納付金もさることながら、兎にも角にも、医療費自体が、年々かなりの勢いで伸びている。健康診断の受診率のアップや保健指導に力を注いでも、なかなか結果に反映できていないというあり様である。
 そんななか、当組合で、もう一つ、なかなか減らないものがある。それが「資格喪失後受診」である。早期の保険証回収に力を入れるなどの策を講じても、毎月、かなりの件数があるため、医療機関や本人とのやり取り、レセプトの返戻処理などの事務作業に追われることとなる。
 減少させるためには、健保組合としての努力は当然だが、資格の有無というのは、保険診療の基本でもある。医療機関での保険証の提示は、月1回ではなく、受診のつどの提示にしていただきたいと切に願うばかりである。
 とはいえ、明日からもせっせと保険証の回収に力を注ぐわけだが、今後、2018年以降にはマイナンバーを活用した資格確認の導入がなされると聞いている。まだまだ先の話ではあるが、マイナンバーの活用に大いに期待するところである。

(第6地区 J・I)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
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原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連大阪連合会事務局へ。(06-4795-5522)