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健保連の白川修二副会長は、3月23日の大阪連合会総会後、中央情勢を報告した。白川副会長の情勢報告は、新年度を迎えるにあたり、@平成28年度の活動に向けての情勢、A医療提供体制の見直し、B当面の健保連の活動、C周辺問題―など広範に及んだ。
このなかでとくに、最大課題の高齢者医療制度改革をめぐるいまの情勢を説明した。(以下に要旨、文責本誌) |
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政府は昨年、「骨太の方針2015」を策定し、政府予算の歳出での社会保障費の伸びを、平成28年度からの3年間で1兆5000億円増を目安に抑制することとした。これは1年間で5000億円増ということだ。
しかし、厚労省の28年度予算要求は、6700億円プラスαの増だったため、その差1700億円を他で削って穴埋めしなければならなかった。具体的には、診療報酬のマイナス改定だったが、財源はそれでも足りず、薬価再算定による引き下げ特例をつくり帳尻を合わせた。 |
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政府は29年度予算での5000億円増を、いまのところ変更する予定はない。しかも、仮に消費税が29年4月に引き上がらないとなると、抑制も厳しくなる可能性がある。したがって、国としては29年度予算が大きな問題となる。
このことは、健保連にも大きく影響する。われわれの最大の要求は、「高齢者医療費の負担構造の改革」だ。その手段として、「消費税引き上げで生まれる公費財源を高齢者医療費に投入し、拠出金負担を減らせ」と主張している。
したがって、消費税引き上げがなくなれば財源がなくなるので、われわれは要求・活動のしかた・闘いかたを再考しなければならない。また、消費税が上がったとしても、軽減税率の問題がある。この実施により税収が1兆円減ると推計されており、公費の投入が難しくなる。 |
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そのうえ、協会けんぽは約3000億円の黒字が続いており、積立金は1兆円を超える状態だ。健保組合も26年度決算見込みで7年ぶりに600億円強の経常黒字となった。
数字だけをみると、被用者保険の危機は去り、財政は安定してきたようにみえる。さらに、国は医療費適正化に具体的テーマを掲げて取り組む姿勢だ。
このような雰囲気のなかで、新たな公費投入による高齢者医療費の改革というわれわれの主張に対しては、逆風が強いといえる。
しかし、われわれの主張は正論だ。いま、高齢者医療費に公費を投入していかなければ、近い将来たいへんなことになる。公費投入を惜しむあまり、拠出金の重圧で健保組合は解散、協会けんぽへ移行。政府は協会けんぽの医療給付費の16.4%分をさらに負担することになる。
同様のことは短時間労働者の健保適用拡大問題にもいえる。適用拡大によって、健保組合全体で約200億円の負担増になるといわれている。しかも、小売業、外食産業など、特定の業種が打撃を受けることになる。ここに少しでも公費を投入すべきだ。
健保連の大塚睦毅会長は、「今日の1円を惜しんで明日の100円を失うことのないようにすべき」と言っている。まさにいま、そんな状況だ。 |
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