大会の前半では、梅村聡氏(医師、前参議院議員)が「医療費適正化への提言」と題して基調講演を行った。大阪大学医学部出身で医師の梅村氏は、「国民皆保険体制をとっている国はヨーロッパを中心に数多くあるが、日本の制度は、国民と医療提供側にとって最も使い勝手がいい」ときり出した。
しかし、日本の公的医療保険制度の最大の弱点は「財源問題だ」とし、「使い勝手がいいあまり『放漫経営』に陥る可能性がある」と警告。「制度を守るには医療費適正化が不可避」と強調した。そして医療費適正化の課題として、次の7つの論点に整理した。
▽政府の医療保険支出予算の決定方法(現行診療報酬改定率の決定過程の是非) ▽都道府県による地域医療計画づくり(策定だけで適正病床数は保てるか) ▽地域包括ケアシステム(在宅へのスムーズな移行のために政策誘導開始)
▽かかりつけ医制度(自由開業医制・フリーアクセスとの関係も考慮) ▽ジェネリック医薬品のさらなる使用促進 ▽医療機関の領収書発行の普及促進(国民が診療メニューの料金体系を事前に知る方法も検討すべき)
▽医療情報の管理・アクセスなどの簡便化方法の検討―。このほか、終末医療問題、療養費問題も課題として掲げた。 |