広報誌「かけはし」

■2016年2月 No.533


 平成28年度(2016年度)の健康保険組合予算編成等事務説明会が1月21日、大阪市中央区の大阪商工会議所 国際会議ホールで開かれた。説明会には、大阪、福井、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の2府5県から277組合、668人の健保組合責任者、担当者が出席した。同日の説明会では、近畿厚生局健康福祉部保険課の係官が28年度予算編成について、健保組合事務の留意事項などを解説した。
 予算編成等事務説明会は午前・午後の2部制で行われた。午前の部では健保連大阪連合会副会長のパナソニック健保組合・堀精宏顧問、午後の部では同副会長の兼松連合健保組合・山本吉平常務理事があいさつした。
 近畿厚生局からは、田邊毅保険課長が出席してあいさつ。中山光生社会保険監査指導官が予算編成について、田中亜矢組合調整係長が組合運営等における留意事項をそれぞれ説明した。また、健保連本部・業務支援グループの鈴木俊明チーフが、番号制度施行にかかる諸規程整備などについて説明した。
 堀副会長、山本副会長のあいさつ要旨は、大要次の通り。
◇               ◇
 堀副会長 経済面をみると、昨年はアベノミクス効果もあり、企業業績や株価が徐々に回復し、デフレの長いトンネルを抜け出したかにみえた。
 しかし、今年に入り一転、原油安、中国経済の混沌、さらに各地で発生するテロもあり、これらが重なって株価の下落が続いている。不安の幕開けであり、今年は従来以上に社会経済面での変化が激しい年になるような気がする。
 昨年は、通常国会で5月末に医療保険制度改革関連法が成立した。しかし、われわれの思いに反して、この法律は国保の運営を都道府県に移管するための財源負担を健保組合に求めるかたちとなっており、とうてい納得できる改革とはいえない。
 昨年秋に公表された26 年度健保組合決算見込みでは、高齢者医療制度創設以来7年ぶりの経常黒字となった。
 だが、その主要因は、保険料率を引き上げて財政難に対応したものであった。拠出金は保険料収入の約44%を占め、あいかわらず高水準となっている。健保組合が過重な負担に苦しむ構図は変わっていない。
 今年は、われわれにとってさらに新たな負担がのしかかる。後期高齢者支援金の総報酬割部分が3分の2に拡大される。10月には短時間労働者の健保適用が拡大される。また、マイナンバー制度にも的確に対処していかなければならない。
 たいへん困難な状況が続くが、手をこまねいていても使命を果たすことにはならない。世界に誇る国民皆保険制度を守り、次世代に引き継いでいくためにも、また、被保険者や加入者の健康をしっかりと守っていくためにも、来年4月の消費税率10%への引き上げのタイミングに向けて、高齢者医療の負担構造改革をいままで以上に一丸となって主張していかなければならない。
 本日は予算説明会だが、自らの足元をきっちり固めるために、われわれを取り巻く環境や事象を正しく認識して、先を見越した予算を策定し、計画的に事業を推進する必要がある。
 予算は健保組合にとって事業計画であり、1年の行動計画のベースとなるものである。個々の健保組合を取り巻く環境を踏まえて、適切な予算を編成していただきたい。
 山本副会長 昨年は、健保組合の最大の関心事であった医療保険制度改革関連法が5月に成立した。結果は、国保の財政運営の都道府県化や、被用者保険にかかる後期高齢者支援金の総報酬割の拡大などとなった。
 全面総報酬割にともなう削減国費を、国保の支援に優先的に活用するとした考え方は、国保財政に転用する1700億円を健保組合等の被用者保険に肩代わりさせることであり、とうてい受け入れることはできない。
 しかし、高齢者医療制度に関する検討や医療費適正化計画の推進など、われわれの要求の一部内容が、附帯決議に加えられた。今後は、それらを確実に実行するよう、強く要望していかなければならない。
 健保組合の財政は、高齢者医療制度への拠出金負担の増加などで厳しい運営を強いられている。
 昨年11月の健保組合全国大会では3500人が結集し、この厳しい状況を一刻も早く打開するため、「現役世代が納得できる公平な制度の実現へ」を副呼称として、高齢者医療制度の負担構造改革の実現など4つのスローガンを、全健保組合の総意として決議したところである。
 今年は、29年4月の消費税率10%への引き上げを念頭に、政府の28年度予算、29年度予算編成、今後の動きなどを注視しながら、われわれの考えを積極的に主張していかなければならない。その意味で重要な年である。
 われわれは一致して、皆保険制度を支えるための改革の主張を、中央へ向けて強く意見具申していく必要がある。また、保険者機能を強化し、データヘルスを着実に実施し、保健事業の充実を図りつつ、被保険者、家族の健康を守り、健康寿命の延伸や医療費適正化を思い描きながら、健保組合の財政健全化をめざして取り組んでいかなければならない。
 マイナンバー制度の導入、短時間労働者の健保適用拡大など諸問題も多くあり、引き続き厳しい情勢だが、健保組合の団結と連帯により乗り切っていこう。
◇               ◇
日 時 1月21日(木)
会 場 大阪商工会議所 「国際会議ホール」
内 容 ○平成28年度健康保険組合 予算編成事務等の説明
    ・あいさつ
      近畿厚生局保険課長  田邊 毅 氏
    ・予算編成について
      近畿厚生局保険課 社会保険監査指導官  中山 光生 氏
    ・組合運営等における留意事項
      近畿厚生局保険課 組合調整係長  田中 亜矢 氏
    ・番号制度施行にかかる諸規程整備についてなど
      健保連業務支援グループ チーフ  鈴木 俊明 氏
出席者 277組合 668人
    (内訳)
  大  阪 171組合 457人  
  福  井 8組合 11人  
  滋  賀 9組合 20人  
  京  都 28組合 55人  
  兵  庫 54組合 108人  
  奈  良 2組合 6人  
  和歌山 5組合 11人