広報誌「かけはし」
 

■2016年2月 No.533



 厚生労働省はこのほど、平成26年度の保険医療機関等の指導・監査等の実施状況を公表した。それによると、保険医療機関等の指定取り消し・取り消し相当処分を受けたのは全国で41件。保険医等の登録取り消し・取り消し相当処分は30人となっている。指導・監査等による返還金額は、133億2377万円にのぼる。

  「保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」は、厚生労働省の地方厚生(支)局などが、保険診療を取り扱う病院・診療所・歯科診療所・調剤薬局に対して行った平成26年度の指導・監査などの結果をまとめたもの。
 適正な保険診療確保のために、行政当局は健保法などにもとづき、指導、適時調査、監査などを行う。その結果、最も重い処分として保険医療機関等の指定取り消しや、保険医等の登録取り消しの措置がとられる。
 指定取り消し、登録取り消し「相当」は、処分前すでに医療機関等が廃止、保険医登録を抹消していても、同様の取り扱いとなるものだ。取り消し処分に該当すると、処分日から原則5年間、再指定・再登録ができない。また、処分の事実は公表される。
 26年度中に保険医療機関等の指定取り消し・取り消し相当処分を受けたのは全国で41件。対前年度比では18件減っている。保険医等の登録取り消し・取り消し相当処分は30人。対前年度比では4人増となっている。
 指定取り消し処分を受けた原因は、取り消し相当を含めて、架空・付け増し・振り替え・二重請求といった不正請求がほとんど。不正発覚のきっかけは、保険者、医療機関従事者、医療費通知にもとづく被保険者等からの通報によるものが25件で、処分を受けた件数 の過半数を占めている。
 「指導・監査等の実施状況」によると、指導のうち地方厚生(支)局、都道府県が医療機関と個別に面談する「個別指導」は、26年度中に医科1604件、歯科1365件、薬局1497件、合計4466件行われた。個別指導後、内容に応じて経過観察、再指導、要監査などの措置がとられる。
 「適時調査」は、医療機関が行政当局に届け出ている施設基準の充足状況を確認する調査で、2347件(薬局1件を除きすべて医科)行われた。不正または著しい不当が疑われる場合等に行われる「監査」の対象になったのは、医科35件、歯科45件、薬局7件、合計87件だった。
 保険医等の登録取り消しは、医科8人、歯科14人(うち「相当」1人)、薬局8人、合計30人。
 これら行政当局の対応による返還金額は、前年度より12億8790万円減ったものの、合計133億2377万円にのぼる。内訳は、指導で41億3453万円、適時調査で65億1527万円、監査で26億7397万円となっている。

保険医療機関等の指導・監査の状況
指導・監査による返還金額