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職場でみられる精神疾患
～対応のポイントは～ |
| １１月３０日、薬業年金会館で心の健康講座を開催。大阪市立大学大学院医学研究科 神経精神医学 准教授 岩﨑 進一氏が「職場でみられる精神疾患～対応のポイントは～」をテーマに講演されました。参加数は、３６組合・５９人。（以下に講演要旨） |
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岩﨑 進一 氏 |
精神疾患は内科疾患のように検査の異常にもとづくものではなく、さまざまな症状の集合体で、疾患特有の症状がありません。現状では精神科の診断はおもに「精神障害の診断と統計マニュアル（DSM）」というアメリカ精神医学会による世界的な診断基準によってなされますが、問題も多く指摘されています。
うつ病といっても正常な本来感じるべき悲しみ、落ち込み、ストレス反応から病的なものまで広く含むようになってしまいました。
以前はうつ病といえば統合失調症と並び精神病の中核でしたが、こころの風邪といわれるくらいにポピュラーなものになっています。
現在の企業で一般的になされているメンタルヘルス対策は、この（内因性）うつ病が精神病であった時代をもとにつくられています。
以前の精神疾患や精神科医療機関が差別的にみられ、職場がもっとメンタル問題に無理解で、冷たく、対応も乏しかった時代のものなのです。
しかし、いまは安全配慮義務が一般的になり、メンタル疾患に対してもしっかりした対応制度、休職・復職制度が確立されているところが多くなってきています。
この非常に保護的ともいえる環境を越えて出てくる（労働者が出してもよいと思われる）病理は、これまでのものと違い、自己の問題と職場の問題が区別できていなかったり、自己保護的であったり、利益・欲求優先的であったりして、これまでのわれわれの常識からはずれたものが多くなってきます。
真面目で、熱心で、しんどくても無理をして頑張りすぎてしまうような、純粋な内因性うつ病の人はいなくなったのではないかというくらい少なくなりました。
それとは違う状況、環境に容易に影響され、性格、発達などの生来の問題等からくると思わせる、さまざまな精神、身体症状が入り交じった、典型的ではない症状の患者さん（それでもDSMでは診断がついてしまいますが）が多くなりました。
そのため、いまはこれまでのような一律、定型的な対応ではなく、その人の多様性に合わせた、人事的配慮、環境調整などを含めたオーダーメイドの対応が望まれる時代になっています。
もちろん、これまでの対応、事例性にもとづいて早期発見、早期治療に連携をしながら結びつけるような対応もきっちり行うことが重要です。
どのような場合でも、その人の立場を理解しようと努め、少しでも苦痛を取り除いてあげればと心がけ、その人に寄り添いながら行う対応はムダにはなりません。うまくいかなくても根気よく対応することが必要です。 |
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