広報誌「かけはし」

■2016年1月 No.532

健保連大阪連合会会長  小笹 定典

 新年あけましておめでとうございます。皆様にはご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 昨年を顧みますと、政治・社会面では、大阪府知事、大阪市長のダブル選挙があり、新体制で行政運営されることとなりました。全国的には、戦後70年の節目の年に、安全保障関連法の成立も重なり、国の行く末について活発に論じられた年であったと存じます。しかし、世界に目をやると、各地でテロ活動が勃発し、不穏な状況になっております。
 スポーツ関係では、2020年開催の東京オリンピックに関する諸問題、ラグビーワールドカップ・イングランド大会での日本の活躍や、フィギュアスケートでの羽生結弦選手の活躍など、話題に事欠くことはありませんでした。
 また、ノーベル賞では、生理学・医学賞に大村智氏、物理学賞に梶田隆章氏が受賞するなど、明るい話題もたくさんありました。
 健康と医療の関係では、健康寿命の延伸と医療費の適正化を図る目的で、各界挙げた「日本健康会議」が発足するなど、健康で生きることの大切さと少子高齢化に対応する日本の将来を深く考えさせられる年となりました。
 医療保険の関係では、健保組合の最大の関心事であった医療保険制度改革関連法が5月に成立しました。内容は国保財政の安定化に主眼をおいた改革にとどまり、われわれの意に沿うものとはなりませんでした。今後、後期高齢者支援金の総報酬割拡大等により健保組合の財政がさらに厳しい状態となることが懸念されます。
 大阪には現在、支部を含めて174の健保組合があります。平成26年度決算をみると、保険料率の引き上げ等により7年ぶりに経常収支は黒字になりましたが、財政状況はまだまだ厳しく、危機を脱するには至っておりません。
 その最大の要因は、高齢者医療への拠出金負担が増え続けていることです。27年度予算では171億円の赤字を計上しました。そこでの拠出金総額は3505億円にものぼり、保険料収入の約43%を充てざるを得ない状況となっております。
 現役世代が減り続け、すべての団塊の世代が前期高齢者となり、人口構造の急激な変化によって今後ますます高齢者医療への拠出金が増加していくことは確実です。しかしながら、今般の法改正は、市町村国保の運営を都道府県に移管するための財源負担を健保組合に求める形となっており、このような負担の転嫁は断固阻止していかなければなりません。
 昨年11月には、「現役世代が納得できる公平な制度の実現へ」を副呼称として健保組合全国大会を開催しました。全国大会では、▽高齢者医療費の負担構造改革の実現 ▽安定した組合運営に向けた財政支援の継続・拡充 ▽実効ある医療費適正化対策の実施 ▽保険者機能の発揮に効果的な健保組合方式の維持・発展─の4つのスローガンを全健保組合の総意として決議したところです。
 今年は、従来にも増して、過重な拠出金負担の軽減、短時間労働者の健保適用拡大にともなう支援措置の拡充等を積極的に訴えていく必要があります。
 そして、医療保険制度改革の次のポイントは、29年4月の消費税率10%への引き上げ時であり、29年度政府予算案が編成される今年を重要な時期と捉えることです。
 健保組合の財政危機を打開し、国民皆保険制度を維持していけるよう、健保組合の実情や改革のための具体案を、多くの人々に対して、わかりやすく説明し、改革実現に向けて取り組んでいく所存です。
 そのためにも、健保組合と健保連が、よりいっそう連帯を強め、全力を挙げてこの難局に立ち向かっていかなければならないと考えております。
 大阪連合会は、健保連本部・各都道府県連合会・各関係団体とも十分に連携をとり、成果ある年にしたいと思います。皆様のこれまで以上のご指導、ご支援を心からお願い申し上げます。
 最後に、本年も皆様がご健勝・ご多幸で活躍されることを祈念して、新年のあいさつとさせていただきます。