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平成28年度厚労省予算概算要求 |
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平成28年度の厚労省関係予算概算要求が8月末、財務省に提出された。総額30兆6675億円で、27年度当初予算額と比べて2.5%増、7529億円増となっている。
このうち、社会保障関係費は約28.7兆円で、内訳は医療11.5兆円、年金11.2兆円、介護2.7兆円、福祉・雇用等その他3.3兆円。
6月30日に閣議決定された「骨太の方針2015」では、高齢化による増加分相当の伸びを、28年度からの3年間で1.5兆円程度に抑えるのが目安とされていた。それによれば、1年で0.5兆円の伸びが限度であり、概算要求額は限度額を上回る。
今後は、年末の政府予算編成まで、来年4月予定の診療報酬改定、および医療費適正化対策などの取り扱いが焦点となる。
健保組合助成関係では、一般会計で総額約372億円の助成額を盛り込んだ。27年度当初予算比37億円減となっている。しかし、高齢者支援金等負担金助成費のうち、法改正による新規分について、27年度予算と同額の109億円は盛り込まれたが、概算要求段階では、上乗せ額が計上されていない。 |
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医療費の動向 |
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26年度の概算医療費総額は約40兆円。このうち75歳以上の医療費が14.5兆円、65〜74歳が7.8兆円であり、65歳以上の医療費が全体の56%を占めている。
対前年度伸び率をみると、全体では1.8%増。このうち特徴的なのは、被用者保険本人が就業人口増加の影響で3.2%増。65〜74歳が人口増加により5.2%増。公費が生活保護の適正化により1.7%の微増などである。
1人あたり医療費の伸び率は2.0%増。このうち65〜74歳は0.1%増で伸び率は低い。医療費総額の伸び率が高いのは前記の通りである。したがって、この階層の医療費の増加は、団塊の世代の流入による人口増加が反映したといえる。
都道府県別で1人あたり医療費が高いのは、高知県、山口県、大分県、鹿児島県で、西日本の各県が高い。 |
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要求実現に向けた活動 |
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医療保険制度改革関連法が成立した。しかし、国保改革を優先したものであり、過重な拠出金負担による厳しい健保組合の財政状態は改善されていない。今後も、公費投入拡充等による高齢者医療費の負担構造改革を強く求めていく必要がある。
また、医療費適正化施策の充実・強化も不可欠。健保組合は保険者機能の充実・強化にいっそう積極的に取り組み、国民の期待に応えなければならない。
われわれの主張点としては、次の要点がある。負担構造改革関係では、いぜん保険料収入の4割以上が拠出金という異常な状態であることを訴える。
健保組合の存在価値関係では、健保組合が、医療費適正化や健康づくり施策を実行できる保険者であることを強調する。
一般向けには、皆保険や皆保険の支え手である健保組合を守れとのスタンスでアピールする。
重点活動の時期としては、29年4月の消費税率引き上げを視野に、今年11月の健保組合全国大会をはさみ年末の28年度政府予算編成期、来年7月の参議院選挙などがターゲットとなる。
一般へのアピール活動は10月以降、開始する。 |
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健保連本部のサイバー対策 |
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経緯=6月10〜11日にかけて、ウイルスチェック等により、本部端末に感染および感染の疑いがあることが判明した。
調査=6月22日〜7月8日まで実施した。結果は、感染および感染の疑いがあった15台のうち4台から、不正プログラムに感染した痕跡を確認した。外部への情報漏えいは確認されなかった。
復旧体制構築=7月10〜27日にかけて、ネットワーク環境の整備、対策機器の導入を図った。7月28日〜9月初旬、段階的に復旧。9月3日に全面復旧した。
復旧後の課題=情報セキュリティ対策に関する本部組織全体のガバナンスの強化を確認した。 |