健保組合決算見込みは、全国1409健保組合の平成26年度決算状況を集計したもの。それによると、経常収支差引額は636億円の黒字となった。黒字は高齢者医療制度創設直前の19年度以来で7年ぶり。赤字だった25年度との比較では、1790億円の改善となった。
財政状況が好転したのは、保険料収入が前年度より2605億円(3.6%)増えた影響が大きい。その要因は、保険料率の引き上げ(387組合)、標準報酬月額の増加(対前年度比0.7%増)、賞与額の増加(同4.4%増)、被保険者数の増加(同0.6%増)などによる。
2605億円の増収効果の内訳は、料率の引き上げ1302億円、賞与額の増加630億円、標準報酬月額の増加391億円、被保険者数の増加282億円。1人あたり年間保険料額は、前年度より1万3924円増えて47万5522円となった。
また、保険料率を引き上げた387組合のうち、153組合(39.5%)は2年連続。この結果、調整料率を含んだ平均保険料率は、前年度より0.208ポイント上昇して8.882%となった。 |
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続く拠出金負担の重圧 |
一方、支出の主なものでは、法定給付費が対前年度比1.7%増の3兆6714億円。法定給付費は24年度以降、3年連続で低い伸び率となっている。高齢者医療支援金・納付金などの拠出金は、対前年度比0.2%増の3兆2794億円となっており、高額で推移している。
保険料収入に対する法定給付費の割合は49.1%、同じく拠出金の割合は43.8%で、2つを合わせた義務的経費の保険料収入に対する割合は92.9%に達した。この割合が100%を超えていて、保険料収入で義務的経費さえ賄いきれないのが377組合(全体の26.8%)あった。 |
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70%以上が拠出金の組合も |
保険料収入に対する拠出金の割合別組合数をみると、40%未満が391組合(27.8%)、40〜50%が659組合(46.8%)、50〜60%が275組合(19.5%)など。なかには60〜70%が60組合(4.3%)、70%以上が24組合(1.7%)あり、現行の拠出金方式の矛盾点が露呈されている。
健保組合全体で経常収支がやや改善したといっても、半数を超える741組合(52.6%)がいぜん赤字だ。赤字組合の赤字総額は1826億円にのぼっている。また、協会けんぽの平均保険料率(10%)以上の組合が、62組合増えて260組合(18.5%)に達した。
今回の健保連のまとめとは別に、全国総合健康保険組合協議会が総合組合247組合のデータを集計しているが、それによると、175億円の経常収支赤字。このうち大阪の42組合は21億円の赤字となっている。財政難は深刻だ。
健保連では、今回の結果について、26年度は景気回復基調にも助けられ、7年ぶりに黒字に転換したと分析している。また今後、現役世代の人口減と高齢者人口増、後期高齢者支援金の総報酬割部分の拡大、短時間労働者の健保適用拡大など、組合財政に影を落とす要素が多いことを指摘した。
皆保険制度を維持するためにも、現役世代の負担を軽減する対策が急務であり、高齢者医療費の負担構造改革の実現と、実効性のある医療費適正化対策の実施が求められると訴えている。 |