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厚労省はこのほど、平成26年度の概算医療費を公表した。前年度より0.7兆円(1.8%)増え、初めて40兆円となった。内訳は入院16.0兆円、入院外13.8兆円、歯科2.8兆円、調剤7.2兆円となっている。年齢階層別では、75歳以上分が14.5兆円で、全体の36.3%を占めた。今後、この階層の人口増加は確実。高齢者医療費のさらなる増加が懸念される。 |
この集計は、レセプト(診療報酬明細書)にもとづき、平成26年度の医療保険医療費、および生活保護など公費負担による医療費を概算したもの。はり・きゅう分、全額自費分などは含まれていない。国民医療費の約98%にあたる。
それによると、概算医療費総額は前年度より0.7兆円増え、初めて40兆円となった。対前年度増加率は1.8%。過去5年間では、24年度(1.7%増)に次いで低い伸び率となっている。
総額40兆円のうち、75歳以上の後期高齢者医療費が14.5兆円となっており、全体の36.3%を占めた。75歳未満の医療費は23.4兆円(構成比58.6%)、公費が2.0兆円(同5.1%)だった。
1人あたり医療費は、平均では31.4万円。年齢階層別では75歳以上が93.1万円で、75歳未満(21.1万円)の4.4倍。平均の3.0倍となっている。
診療種類別では、入院16.0兆円(構成比40.2%)、入院外13.8兆円(同34.5%)、歯科2.8兆円(7.0%)、調剤7.2兆円(18.0%)となっており、入院医療費が全体の4割を占めた(表1参照)。
診療種類別に26年度医療費の対前年度伸び率をみると、医科入院1.7%、医科入院外1.3%、歯科2.9%、調剤2.3%となっている。年次推移をみると、診療報酬改定による薬価引下げがなかった奇数年度で、調剤の伸び率が高いのが目立つ(表2参照)。
入院・入院外合計の医科医療費(29.8兆円)を医療機関の種類別にみると、病院21.3兆円、診療所8.5兆円。病院医療費の内訳は、大学病院2.7兆円、公的病院7.7兆円、法人立10.7兆円、個人立0.2兆円だった。
診療所医療費(8.5兆円)のうち、診療科別にみて最も多かったのは、内科の4.1兆円。以下、整形外科0.9兆円、眼科0.7兆円、外科0.5兆円の順となっている。
一方、この集計では、都道府県別の推計平均在院日数を調べている。それによると、全国平均は31.1日で、前年度より2.2日短縮した。これは鳥取県以外の全都道府県で在院日数が短縮したことによるものだ。
最も在院日数が長かったのは、高知県の45.4日。鹿児島県44.7日、山口県42.9日、佐賀県42.3日、徳島県41.7日、熊本県40.6日で、40日を超えたのはすべて西日本の各県。大阪府は29.9日で平均をやや下回った。
逆に、最も在院日数が短かったのは、東京都の24.5日。神奈川県24.7日、愛知県26.1日などが短い。 |
表1 診療種類別概算医療費 |
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表2 医療費の伸び率 (対前年度比) |
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