■2015年9月 No.528
いま、われわれができること
― 健康についての意識改革 ―
選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられる改正公職選挙法が成立し、来年夏の参議院選挙から適用される。
新たに有権者となるのは約240万人で全有権者の約2%強。これが多いかどうかは、このうち何割が実際に投票行動をとるかで判断されるが、世論調査では前向きな若者が多い。この新有権者層が起爆剤となって20歳代の若者の投票率が上昇するとの見方が出ている。
直近の2014年暮れの衆議院選挙では、20歳代の投票率が32.58%で、60歳代(68.28%)の半分以下であった。
法改正により、高齢者に厚い社会保障政策に一石を投じることになるのではないかと期待している。
わが国はシルバー民主主義といわれ、高齢者に配慮した数々の政策が打ち出されている。それが社会保障費の増大につながっていると指摘されている。
政府は、財政再建策として2020年度までにプライマリーバランスを健全化するとの計画を示しており、計画達成には社会保障費の大幅な増加は避けたいとの意向である。
遠大な計画の割には、10%への消費税アップや健康保険組合(=現役世代)に対する負担増など、取りやすいところから取るという安易な施策に頼りすぎているとの感じは否めない。
国にとっては喫緊の課題であるが、財政再建に対する世の中の関心は低い。理解を得るには、バランスがとれた形での負担の公平さは必要である。
昨年末に発表された国民経済計算や家計調査において、高齢者が若いときに蓄えた貯蓄を少しずつ取り崩して生活していることが裏づけられた。それを考えると、高齢者層へのいき過ぎた負担増は避けなければならないだろう。
こうしてみてくると、どの年齢層も決して余裕があるわけではなく、むしろ今後の社会保障費の増大は、各年齢層の努力で抑制していく必要があろう。
医療・介護の分野では、すべての国民が元気に健康な生活を送ることが最大の財政抑制策になる。いま自覚症状がなくても将来重症化する生活習慣病予備群は、厚生労働省のメタボリックシンドローム調査でみると、次のような数字となっている。メタボ健診対象の40〜74歳について、男性の2人に1人、女性の5人に1人が強く疑われる予備群と考えられ、その数は該当者と合わせて約1940万人と推定される。
こうした人たちに対する健康の意識づけを促進し、しっかり自己管理するなかで栄養・運動などの指導や医療機関で治療を受けるなどの行動をとってもらうことが、われわれができる貢献策ではないかと思う。
特定健診・特定保健指導およびデータヘルス事業の実施、そして加入者一人ひとりの健康意識を高める広報活動といった健康保険組合ならではの活動を愚直に取り組むこと。それによって、近い将来に大きな成果となって戻ってくるものと確信している。
(T・N)