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国の平成27年度高齢者医療運営円滑化等事業がスタートした。今年度は、全拠出金を対象にした既存分に加え、新規分として、今回法定化された前期高齢者納付金による過重負担の軽減策を盛り込んだ。再編された高齢者医療支援金等負担金助成事業の予算規模は約308億円、助成対象は524健保組合の見込みとなっている。 |
国の平成27年度の高齢者医療運営円滑化等事業に関しては、4月9日付(厚生労働省発保0409第11号)で厚生労働事務次官から「交付要綱」が、また、同日付(保発0409第12号)で保険局長から「実施要領」が示されている。
さらに、7月31日付(保高発0731第2号)で保険局高齢者医療課長から「取扱要領」が示されている。その後、厚労省から助成対象の健保組合に対して、申請手続きなどの案内文書が送付され、対象組合は、それに沿って27年度分の申請を行っている。
今年度の円滑化等事業補助金は、新規分と既存分の2本立て。このうち新規分は、通常国会で成立した医療保険制度改革関連法により前期高齢者納付金に着目、負担の重い被用者保険者への国費での負担軽減策を具体化したものだ。
新規分の交付基準は、健保組合加入者1人あたりの前期高齢者納付金について、団塊の世代が前期高齢者へ移行する前の平成23年度から27年度にかけた納付金の伸び率が激増した組合を対象とした。増加部分が2.5倍超の部分は65%助成、2倍〜2.5倍は45%助成、1.5倍〜2倍は25%助成を見込んでいる。
なお、全拠出金の所要保険料率が低く被用者保険者の下位3%に入る組合は交付対象外。24年度以降の新設組合は伸び率設定が困難なため一定率助成。既存分の助成対象組合は除外される。
新規分の助成対象は267組合を見込み、助成規模は約101億円となった。国の予算では、新規分に、科目廃止となった給付費臨時補助金分(約8億円)を加え約109億円の予算規模となっている。
一方、既存分の交付基準は、これまでと同じ考えで、被保険者1人あたり総報酬が健保組合平均(560万円)未満の組合が交付対象。
27年度は、全拠出金の所要保険料率が健保組合平均(4.14%)の1.20倍超の部分は100%助成、1.19倍〜1.20倍は50%助成、1.10倍〜1.19倍は10%助成を見込んでいる。既存分の助成対象は296組合を見込み、助成規模は約199億円となっている。
これにより、新規分と既存分合計の交付対象となるのは、重複する39組合を除き524組合、予算額は約308億円となった。既存分のみだった前年度(265億円)との比較では16%増。
円滑化等事業補助金は、後期高齢者支援金の算定に3分の1総報酬割が導入された22年度に322億円(対前年度比98%増)となった。しかし、導入時に国会での附帯決議があったものの、26年度まで毎年度減額が続いていた。
今回の法改正で、29年度の後期高齢者支援金の全面総報酬割実施が決まった。関連して、政府は、29年度に円滑化補助金総額720億円で、おもに前期納付金に着目した組合負担の軽減策を拡大実施する方針だ。健保連は、6月に28年度政府予算概算要求での補助金の拡充を要請。今後、円滑化補助金の増額について注視していくとしている。 |
高齢者医療支援金等負担金助成事業補助金の推移 |
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