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医療保険制度改革関連法 |
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医療保険制度改革関連法が5月27日、参議院で可決、成立した。衆議院に続き参議院でも附帯決議が付けられた。
現役世代の拠出金負担が過大とならないよう、負担がとくに重い保険者に対する拠出金負担軽減措置を講じる―などを内容としている。
同日、健保連の大塚会長はコメントを発表した。
▽国費による負担軽減策の創設など評価できる部分も含まれている ▽しかし改正の中心は国保の財政基盤強化策に偏ったもの―などと批判した。
成立までの参議院審議では、次のような質問があった。
▽国保の効率化が十分といえない時点で、全面総報酬割の財源を国保に投入することは、被用者保険の理解を得られない ▽総報酬割を高めると、社会保険料の税の性格をいっそう強めることになる。それが保険料の1700億円の肩代わりにつながる。保険料の半分が再分配に使われていいのか。
▽拠出金負担の軽減に用いる100億円は制度化されているが、前期納付金の負担軽減に充てられる600億円は裁量的経費とされているため将来的に継続される保証がない。これらの懸念を払拭するため、制度化された部分の拡大など、なんらかの措置をとるべき。
これに対して、塩崎厚労相は、次の点などを答弁した。
▽被用者保険の拠出金負担については、制度化部分の影響を含め負担を把握し、必要な負担軽減をすることが重要であり、円滑化補助金についても同様に被用者保険への負担軽減を行えるよう財源確保に努力していく。
一方、5月22日には、健保連の白川副会長が参考人として意見陳述した。
白川副会長は、地域と職域の保険者が共存し、それぞれが保険者機能を発揮して皆保険の充実・発展に貢献してきた。今後も現行の保険体制を維持・強固にしていくことがなにより重要―などの意見を開陳した。 |
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5団体が「骨太方針」に意見 |
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健保連、協会けんぽ、経団連、日商、連合の被用者保険関係5団体は6月8日、政府の「骨太方針2015」策定に対して、塩崎厚労相に意見書を提出した。
医療・介護の費用の適正化・効率化、さらなる総報酬割強化策は容認できない―などを強く要請している。 |
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経済財政諮問会議 |
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6月10日、経済財政諮問会議(議長=安倍首相)に塩崎厚労相が臨時議員として出席。社会保障に関するおもな論点について資料を提出した。
病床機能報告制度・地域医療構想、医療費適正化計画、データヘルスなど、「見える化」の取り組みや、後発医薬品使用の加速化などを提示した。 |
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当面の対応 |
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引き続き、制度改革の必要性について重ねて主張する。とくに健保組合に対する十分な財政支援・手当てを求める活動を中心に展開する。最大の課題は、平成29年4月の消費税率2%の引き上げ時における改革実現である、とした。 |
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医療費の動向 |
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26年4月〜27年1月の概算医療費は33兆2000億円となっており、26年度合計で40兆円を超えるのが確実と予測される。
対前年度伸び率は1.6%増で、過去4年間の伸び率を下回っている。しかし、26年12月は4.0%増、27年1月は3.0%増と高く、予断は許さない。1人あたり医療費は1.7%の増加である。
年齢階級別にみると、65歳以上75歳未満の医療費が5.2%増、1人あたりが0.3%増となっている。この階層の人口増加が医療費増加に影響していることがわかる。 |