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健保連大阪連合会管内の健保組合の平成27年度予算概要が、このほどまとまった。管内166健保組合の経常収支は171億円の赤字となった。赤字額は前年度と比較して293億円減ったものの、平成20年度以降8年連続で赤字を計上。組合全体の約7割が赤字となっている。平均保険料率は前年度より0.188ポイント上昇して9.150%となり、9%の大台を突破した。健保組合の財政難は恒常化の様相を示している。 |
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(注) |
平成25年度までは決算見込、26、27年度は予算見込 |
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平成27年度予算概要は、大阪連合会管内166健保組合の状況をまとめたもの。それによると、経常収支は、経常収入8499億円、経常支出8670億円で、差引171億円の赤字。高齢者医療制度が創設された20年度以降、8年連続して経常収支が赤字となった。
26年度予算と比較すると、経常収支赤字額は293億円減少した。これは経常収入が360億円(4.43%)増加したのに対して、経常支出が67億円(0.78%)の増加にとどまったためだ。
経常収入が増加したおもな要因は、標準報酬月額の増加、標準賞与額の増加、保険料率の引き上げ、被保険者数の増加などによる。一方、経常支出があまり増えなかったのは、若干ではあるが支援金・納付金の減少、法定給付費の伸びの鈍化、被扶養者数の減少などによる。 |
経常収支が赤字見込みの組合は115組合で、全組合の69.28%。保険料率の引き上げは38組合で、全組合の22.89%となっており、いぜんとして苦しい財政状況が続いている。
経常収入のほとんどを占める保険料収入総額は8284億円。対前年度比349億円(4.39%)の増加となっている。被保険者1人あたり保険料収入額は49万8089円で、対前年度比1万9227円(4.02%)増加した。
平均保険料率(調整保険料率込み)は、対前年度比0.188ポイント上昇して9.150%となり、初めて9%を超えた。保険料率引き上げ組合の平均の引き上げ率は0.868%で、高い率での引き上げとなっている。これによって、協会けんぽの平均保険料率(10.00%)以上の料率の組合は44組合となり、前年度より5組合増えた。
実質保険料率は9.514%で、前年度(9.623%)より、やや改善したが、平均賦課料率(9.150%)より高く、経常収支赤字の実態を示している。協会けんぽの平均保険料率(10%)以上の実質保険料率の組合は59組合(35.54%)となった。 |
支出では、法定給付費は4415億円で、対前年度比76億円(1.76%)の増加。被保険者1人あたり額は26万5482円で、対前年度比3642円(1.39%)の増加となっている。
支援金・納付金等の総額は3505億円で、対前年度比24億円(0.68%)減少した。内訳は、後期高齢者支援金と老人保健拠出金の計が2.11%増の1787億円、前期高齢者納付金と退職者給付拠出金の計が3.43%減の1718億円となっている。 |
おもな適用状況をみると、健保組合数は、166組合で、前年同期より2組合減少した。
被保険者数は166万3146人で、前年度に比べて6011人増加した。被扶養者数は153万3175人で、1万0945人減少した。この結果、扶養率は0.92となり、前年度より0.01ポイント低下したが、全国平均(0.86)より高い。
被保険者1人あたり平均標準報酬月額は、36万9948円で、対前年度比3555円(0.97%)増加。平均標準賞与額は、110万1661円で、6万2485円(6.01%)増加した。 |
保険料収入に対する支援金・納付金等の割合は42.31%となった。対前年度比では2.16ポイント低下したが、拠出金はいぜんとして収入の4割を超えている。
保険料収入に対する支援金・納付金等の割合別組合数をみると、50%以上を支援金・納付金に充てざるをえない組合が39組合(23.49%)あり、全体の約4分の1を占めた。なかには70%以上という組合が2組合あった。
支援金・納付金等と法定給付費を合わせた、いわゆる義務的経費の保険料収入に対する割合は、95.61%。保険料収入のほとんどが義務的経費を賄うために支出されている。
調整保険料率を含んだ保険料率別の組合数をみると、9.5%以上10%未満が36組合で最も多かった。次いで10%以上10.5%未満が31組合、9%以上9.5%未満が30組合となっており、以上のランクに全体の約6割が入っている。なかには法定上限に近い11.0%以上という組合が3組合(前年度は0)あった。
実質保険料率別の組合数をみると、8.5%以上9%未満が29組合で最も多かった。次いで9.5%以上10%未満、10%以上10.5%未満がそれぞれ24組合、9%以上9.5%未満が23組合。以上のランクに全体の約6割が入っている。 |
次に、財政状況などの年次推移をみると、高齢者医療制度創設以前の平成18、19年度にそれぞれ361億円、187億円と黒字だった経常収支は、20年度に317億円の赤字に転落した。その後、23年度の769億円をピークに、金額の変動はあるもののずっと赤字で推移しており、27年度で8年連続となった。
保険料収入に対する支援金・納付金等の割合は、18、19年度にそれぞれ34.65%、37.44%だったが、20年度に43.06%となり、以後40%台で推移している。
今後も高齢者の増加による医療費の増加は確実で、高齢者医療制度の構造改革がなければ、これらのトレンドからの脱却は困難な状況だ。 |
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