広報誌「かけはし」

 
■2015年2月 No.521


対人コミュニケーションに活かせるカウンセリングマインド

 12月18日、薬業年金会館で心の健康講座を開催。特定非営利活動法人 大学院連合メンタルヘルスセンター 理事/臨床心理士 枚田 香氏が「対人コミュニケーションに活かせるカウンセリングマインド」をテーマに講演されました。参加数は、36組合・50人。(以下に講演要旨)
 

 

枚田 香 氏
メンタルヘルス不調が疑われる人への声かけ
 いまや世の中では、メンタルヘルスやうつ病に関する情報を耳にされる機会が増え、身近な方がメンタルヘルス不調に陥ってしまったという経験も少なくないのではないでしょうか。
 職場のメンバーに不調のサインが見え始めたとき、上司が当事者にどのように声かけをしてフォローしていけばいいのか、管理者向けのラインケア研修で傾聴テクニックとして頻繁に取り上げられるテーマですね。
 傾聴を意識したコミュニケーションにおいて、カウンセラーの聴く技術や考え方(心構え)を日常の対人コミュニケーションで活かすことをカウンセリングマインドと表現し、ちょっとしたブームになっています。
ポイントは自分の考えでアドバイスせず質問上手になること
 日頃から人にアドバイスをすることに慣れておられると、アドバイスしないと役に立てたという実感を持てないと言われることがありますが、カウンセラーは基本的にアドバイス中心の会話はせず、聴く(話させる)ことを重視し、質問の仕方を工夫します。
 話をちゃんと聞いていますよという雰囲気をつくる努力をし、たとえ感心できない相談内容であっても即座に否定せず、アドバイスの代わりに「それで? もう少し具体的に教えてくれない?」「そうか、そのときの状況をもう少し詳しく教えてもらえない?」といった感じで質問していくと、相手の心を閉ざさずに本音を語ってもらえる可能性がアップするかもしれません。
 質問には、主に5W1Hで尋ねて自由に答えてもらう開かれた質問(オープンクエスチョン)と、イエスかノーで答えられる閉ざされた質問(クローズドクエスチョン)があります。
 開かれた質問で答えが得られなかった場合に、閉ざされた質問に切り替える方法は、日頃のコミュニケーションでは便利なのですが、閉ざされた質問の的が外れると、相手に自分の考え方に誘導しようとしているような印象を与えたり、予想外の方向に進んでしまったりするリスクもあります。質問の仕方も意外と工夫の見せどころなのです。
自分の考えを伝えたいときのコツは“Tメッセージ”
 それでも立場上、こちらの考えを伝えなければならない場合もありますよね。そういったときに、オススメの伝え方がIメッセージです。これに対してYouメッセージは相手への否定になりやすい傾向があります。
 例をあげると、遅刻の多い部下に対して、Youメッセージでは「最近お前は遅刻が多すぎる、社会人のルールを守れてないよね」、Iメッセージでは「最近、定時に来れないようだけど、なにか困っていることがないか(私は)心配なんだ」という感じです。よかったら一度使ってみてください。

※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。