広報誌「かけはし」

■2015年1月 No.520
 
投稿 言わしてんか!聞いてんか!

●ありがとう 空気のような「皆保険」
 

 私は50代半ばのいい親父だが、われわれの世代には生まれたときからテレビがあった。だから、家でテレビの音がしないと、その静けさに耐えられない。
 もうひとつ、未熟児で生まれた私は、2歳になるくらいまで医者にかかりまくった。もちろん健康保険で。そう、生まれたときから健康保険証に名前が載っていた。
 自分の名前が載っている保険証があることは、子供のときからこんな爺様になったいまでも、きわめて自然なことであるのだ。
 みんななんらかの医療保険には入っている。つまり、なんらかの医療保険を国は用意しているということである。
 これを国民皆保険という(のだそうだ)。
 そんなこと当たり前でしょ、といわれるかもしれない。でも国民みんなが加入する医療保険が用意されていて、実際にみんなが加入しているなんて珍しいことなのだ。こんなこと、長く健康保険を生業にしているくせに、私は認識していなかった。
 中国は社会主義の国なのに全国民をカバーする保険がまだない。
 アメリカの場合は国民皆保険をめざす、いわゆるオバマケアに関する報道等で、われわれ日本人が思うような保険が、かの国にはないんだという驚きの事実を知ってしまった。
 アメリカの健康保険は社会保険ではなく、自動車保険と同じ民間の保険会社の保険商品だという。勤め先を通して保険に加入するのはわれわれと同じようだが、保険料と保険内容は契約者との力関係で決まってしまうんだそうだ。
 まだある。国は、診療報酬や薬価の決定にかかわらないんだと(ウソやろ!)。
 だから、すべて自由診療、自費扱いのようなものである。ただし、保険会社は医療費を値切りに値切るから、医療機関も決して儲かるわけではない。また、自動車保険と同じだから免責部分(契約によって免責額がまるで違う)もある。
 健康保険って、私にとっては空気のようなものだったが、みんなが等しく吸える空気って、本当にありがたいものだったんだ。そして、国民皆保険の国に生まれたのは、なによりもラッキーであったとつくづく思う今日この頃である。

(第4地区 A・M)

   
●思うところ
 

 この文章が載る頃には、各健保において27年度予算案策定に向け事務局は頭を悩ましておられることと思います。
 また、国会においては衆議院総選挙も終わり、新しい内閣が発足し政治の停滞をとりもどすべく奮闘されていることでしょう。
 それにしても、消費税引き上げの可否のためにしたとの今回の総選挙。いったい誰のためにしたのかよくわからない。もともと、景気条項が定められているのだから、多額の選挙費用を使わなくても政府の判断で決めればよいものを。
 健保連は消費税のアップにより高齢者医療制度への公費投入を要求してきたところですが、1年半先延ばしという決定により、医療・介護・年金・少子化対策等、社会保障への財源すら見込めなくなってしまいました。
 一市民としても、この国はどうなっていくのか不安が増すばかり。
 先日、半年をかけて南米・ヨーロッパを一人旅してきた息子が、日本ほど路上で物乞いをする人が少ない国はないとの感想を言っていました。しかし、経済格差の増大、非正規雇用者の増大、中間層の疲弊が進んでいる現状をみると、なにか納得がいかないものがあります。
 自身が身を置く医療保険者をみれば、高齢者医療制度に対する多額の拠出金のため、財政は火の車。とくに健保組合は高齢者医療制度発足以来、多額の拠出金を負担し、また団塊の世代の高齢化で拠出金はますます増え、組合財政は破綻の危機に直面しています。予算編成にあたっても、拠出金の額ばかりが気になる現状は、切ない限りです。
 とはいえ、事業主や加入者の健康保持増進に貢献している健保組合を守るためにも、いまできることに精いっぱい取り組むしか道はないと思う今日この頃です。
 最後に、一人旅をした息子になにか得たものがあるかと聞いたところ、ひと言「世の中なんとかなる」。なるほどと納得。

(第5地区 M・I)

 
●納付金、なんとかして
 

 今年の8月に健康保険組合に異動になりました。まだまだわからないことがたくさんありますが、健康保険組合にきて一番驚いたことが、納付金と支援金の金額の大きさです。しかも、変動の幅も非常に大きい。ある組合さんでは、数億円増えたそうです。いままでの経験では考えられない変動幅です。
 さらに全面総報酬割の話もされていて、赤字への不安感は増える一方です。
 ぜひとも、早急に高齢者医療への公費投入と納付金等の仕組み改善を実行してもらいたいものです。
 一方、健康保険組合としては、高齢者の医療費が増えないような対策をデータヘルス計画に盛り込んでいかなければと思っています。
 具体的には、前期高齢者向けの保健指導の実施や、独自に特定保健指導の対象に服薬中の方、ならびに40歳未満も入れる等検討したいと考えています。

(第6地区 K・T)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連大阪連合会事務局へ。(06-4795-5522)