広報誌「かけはし」

■2015年1月 No.520

健保連大阪連合会会長  安藤 力

 新年あけましておめでとうございます。皆様にはご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 昨年を顧みますと、スポーツ界では、ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子の金メダル獲得や、テニスの全米オープンでの準優勝などがありました。また、青色LED発明の3氏がノーベル物理学賞を受賞、世界文化遺産に富岡製糸場が登録されるなど、明るい話題がたくさんありました。
 一方で、御嶽山の噴火をはじめ、豪雨や広島の土砂災害、豪雪や地震など、自然災害が続いた大変な年でもありました。
 政治・社会面では、17年ぶりに消費税率が引き上げられ、5%から8%になりました。また、昨年11月に衆議院が解散となりました。解散とともに消費税率10%への引き上げを延期する方針が表明されました。その後、衆議院総選挙は12月14日に行われ、自・公与党が圧勝、野党は惨敗という結果となりました。そのため、消費税率10%への引き上げは平成27年10月から1年半遅れの29年4月となる方向です。
 消費税は、社会保障に直結する非常に大きな財源であり、健保組合の高齢者医療費のための拠出金負担への公費投入に、少なからず期待していた健保組合は、ますます厳しい状況が続くのではないかと思われます。
 皆保険制度を支える健保組合は7年連続で赤字になるなど、かつてない危機を迎えています。その最大の要因は、高齢者医療費のための拠出金が増え続けていることです。大阪の168健保組合の26年度予算をみると、高齢者医療制度への拠出金総額は3529億円となり、健康保険料収入の45%を充てざるを得ない異常な状況となっています。
 また、今年にはすべての団塊の世代が前期高齢者となり、一方で現役世代が減り続け、このままでは高齢者医療への拠出金の割合が増加していくことは確実です。
 さらに、市町村国保の財政運営を都道府県単位化するための財源負担を健保組合に求めてくる可能性が十分にあり、このような負担の転嫁は断固阻止しなければなりません。
 このようななか、昨年11月に、「皆保険を次世代へつなぐ改革実現総決起大会」を副呼称として健保組合全国大会を開催しました。全国大会では、▽前期高齢者医療への公費投入の実現、▽高齢者医療費の負担構造改革と持続可能な制度の構築―の2つのスローガンを全健保組合の総意として決議したところです。大会では、このほか要求実現活動の一環として、テレビ放映、新聞広告、街頭でのビラ配り等、さまざまな取り組みが行われました。
 今年は、健保組合の財政危機を打開し、国民皆保険制度を今後も維持していけるよう、健保組合の実情や、改革していくべき具体案を、国民一人ひとりに、よりわかりやすい説明を心がけ、その実現に向けて取り組んでいく所存です。
 そのためにも、健保組合と健保連がより一層連帯を強め、全力を挙げてこの難局に立ち向かっていかなければならないと考えています。
 大阪連合会としては、健保連本部・各都道府県連合会・その他各関係団体とも十分に連携をとりながら、成果ある年にしたいと思っています。皆様のこれまで以上のご指導、ご支援をこころからお願い申し上げます。
 最後に、本年も皆様がご健勝・ご多幸で活躍されることを祈念して、新年のごあいさつとさせていただきます。