広報誌「かけはし」

■2014年11月 No.518
 平成26年8月に、医療機関および薬局から、支払基金に請求された電子レセプトの件数割合は、全体で95.0%に達していることがわかった。内訳は、医科97.1%、歯科74.8%、調剤99.9%の普及率となっており、レセプトの電子化が着実に進んでいることを示している。
 保険医療機関や保険薬局から、支払基金など審査支払機関への診療報酬請求については、「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令」により、原則、電子レセプト請求で行うこととされている。医療機関でレセコンがリース期間中の場合や高齢医師等だけの場合、例外的に猶予・免除の措置もある。
 支払基金によると、全国の保険医療機関(医科・歯科)、保険薬局から支払基金への平成26年8月請求分の電子レセプトは、件数ベースで全体の95.0%に達した。電子レセプトのうち、オンラインによるものが71.3%、DVDなど電子媒体によるものが23.8%。残りの5.0%は紙による請求だ。
 診療科別にみると、医科97.1%、歯科74.8%、調剤99.9%の電子化普及率となっている。調剤の件数割合が高く歯科の割合が低いなど、レセプト電子化進展の推移を浮き彫りにする結果となっている。
 医科の請求件数について、病院・診療所別にみると、病院では400床以上・400床未満ともに99.9%がオンラインによるもの。診療所では3.8%が紙による請求だった。
 電子レセプト請求の普及状況を医療機関数、薬局数ベースでみると、電子レセプト請求を行った医療機関・薬局は全体の82.3%(オンライン51.2%、電子媒体31.0%)。紙レセプトで請求した機関が17.7%だった。
 このうち、400床以上の病院・400床未満の病院ともに、オンライン請求をしたのが99%を超えていた。診療所はオンライン・電子媒体を合わせて電子請求をしたのが87.2%。逆に12.8%の診療所が紙レセプトによる請求だった。歯科は63.7%、薬局は95.8%が電子レセプト請求だった。
 法令上、電子化の義務づけが大規模病院から段階的に実施されたこと、歯科の電子化が立ち遅れていたこと、もともと薬局の普及率は高かったことが反映されている。
 一方、支払基金から保険者等への請求件数の実態をみると、電子レセプト90.7%(オンライン84.8%、電子媒体5.9%)、紙レセプトのみ4.8%、紙+画像・テキスト1.0%、電子レセプト+画像・テキスト3.5%となっている。
 大阪の健保組合の8月診療分をみると、全国の医療機関等が大阪府内の健保組合(8月分183組合)に請求したレセプトの形態は、医療機関等から支払基金まで(いわゆる川上部分)が、電子レセプト93.2%、紙レセプト6.8%。その後、支払基金から健保組合へ(川下部分)は、オンライン93.2%、画像・テキストを送信したのが6.8%(画像・テキストのみ6.4%、画像・テキスト+紙レセプト0.4%)となっている。
 医療機関等から支払基金への電子媒体による請求も一部あるが、基金からはすべてオンラインで組合へ請求されている。
 8月診療分の大阪の健保組合あてオンライン請求の総件数は約261万件。内訳は医科約147万件、歯科約33万件、調剤約80万件にのぼる。
 レセプトの電子化については、健保連が他の保険者に先がけて促進を主唱。一方で支払基金の医療機関側への協力依頼もあり、行政通知等にも反映されて、今日の「電子レセ主流」に至った経緯がある。
 平成19年3月の厚労省通知(保総発0330008号)により、それまで原則紙レセプトだった審査支払機関(支払基金)から保険者(健保組合)への請求が、オンライン対応可能となった。また、23年4月以降、電子レセプトの請求はオンラインで行うこととされた。
 電子化によるメリットは非常に大きい。電子レセプトは特定健診・保健指導事業、データ分析事業の推進、さらに今後本格化するデータヘルス計画の基盤として欠かせないものとなっている。