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7月の大阪連合会総会で健保連の白川副会長は「高齢者医療制度問題は政治的関心度の低いところに問題がある」と言われていたが、まったくそのとおりだと思う。
与野党とも、被用者保険が拠出金を拠出してうまく収まっているこの制度に、なんでいまさら問題提起が必要なのかとの考えがあるのではないだろうか。
とくに被用者保険のなかでも健保組合については「大企業が中心の健保組合は、中小企業が主体の協会けんぽに比べて保険料率は低い。積立金も潤沢に持っている。それなのに、なにを言っているのか」とのわれわれとは異った認識と思いがあるのだろうかと勘ぐりたくなる。
先般、池上彰氏司会の討論番組で、増大する医療費・保険料が国民の大きな負担になっていることをテーマにしたものがあった。
そのなかで、ある俳優が「病院が、元気なお爺ちゃん、お婆ちゃんが話をしたいがために来院する井戸端会議の場になっている。そういうところの無駄は削減できないのかな」との疑問を呈した発言をした。
これに対してイギリス人男性が「毎日病院へ行ってもいいじゃない。そこで友達に会って楽しければ、それでいいじゃない」と反論。これをきっかけに議論がヒートアップした。
ある若い女性タレントは「自分のお爺ちゃんやお婆ちゃんにならお金払ってもいいなと思う。けれど全然見ず知らずのお爺ちゃん、お婆ちゃんの井戸端会議になんで私たちがお金を払わなければならないの」と発言。
対して、ウズベキスタン人女性は「戦後、ボロボロの日本からこの素晴らしい国にしてきたのはいまのお爺ちゃんと、お婆ちゃんたちですよ!もっと尊敬してください!!」と非難。また、フィンランド人女性は「福祉負担はなんらかの形で自分に返ってくる」との見方を説明した。
これらの批判にタレントは「本当に体調が悪くて病院に行ってるならいいんですよ。井戸端会議のためには出したくないって言ってるだけ」と反論した。
放送後、タレントのツイッターは賛否両論で炎上した。曰く「敬老の意識が全く感じられない」「自分さえよければいいってタイプ、痛すぎ」「年寄りはさっさと死ねってことか」「性格悪すぎ、日本の印象が悪くなる」「みんな思っていること」「言いたいことはわかる」などであった。
皆さん、どうお思いだろうか。
われわれからみると、老人を敬うことと医療費の問題は別の議論だと思われる。だが、それにしても、マスコミは社会に訴えることができる大きなツールだと、この番組を見て改めて感じた。マスコミをうまく刺激すれば、われわれの意見や主張は国民に強く訴えることができるのではないか。
健保組合だけが口角泡を飛ばしても「改革」が動かないのであれば、ここは世論の盛り上がりが必要である。
健保連がTV・CMや新聞広告を出す一方で、マスコミに制度の矛盾や健保組合の窮状に理解を深めてもらうこと。健保組合の主張を、第三者を通じて分かりやすくとり上げてもらう手立てをもっと推し進めることも一考である。 |
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(K・N) |
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