広報誌「かけはし」
 
■2014年8月 No.515
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●「犬の伊勢参り」と皆保険制度
 

 わが家には、3歳になるM・シュナウザーがいる。書店で見かけた「犬の伊勢参り」という本のタイトルに興味をそそられ、読んでみた。
 すると、にわかには信じがたいが、江戸時代後期から明治初期までの約100年間、犬が単独で伊勢参りをした時期が確かにあったということだ。おそらく有史以来こんなことが起こり得たのは、この時期の日本だけだろう。
 "一生に一度は伊勢参りに"という庶民にとっての願いが、そう簡単には叶わなかった時代。"せめて主人の代わりに"という人々の想いが、このような事象を生み出したのだろう。
 「これはおかげ参りの犬では?」と察した人々が、道中の宿場から宿場へと順繰りに先導し、川では渡し舟にも乗せて遠い伊勢神宮を参拝させる。そして帰り道もクビに掛けてある木札に書かれた故郷まで送り届ける…。
 伊勢参りに対する想い、災いへの畏れとマメな責任感、寛容な助け合い精神といったものが、階層を問わず共有されていた、かつての日本の横顔が浮かんでくる。
 一方、国民皆保険も、所得や年齢を超えて、なんらかのかたちで制度を支えようという意識が共有されるからこそ、結果として維持できよう。
 将来的な人口構造の変化を踏まえると、給付の範囲や負担の枠組みを見直し、すべての人たちに対して、制度を支える納得感、信頼感を醸成することが、いまこそ大切だと思う。
 われわれ日本人は、もともと支えあうというDNAを持っているのだから。

(第1地区 K・H)

   
●健保 苦戦続きの1年目
 

 去年の8月に現在の会社に入りました。もうすぐ50歳になります。仕事の内容は、健康保険および他の社会保険の事務。周りの人達も温かく迎えてくれて、恵まれた環境で仕事をさせてもらっています。
 ただ、この1年、仕事は苦戦の連続でした。使い慣れない言葉。意味もわからない。「款・項・目」って? 「月変」「任継」って? 財政調整事業繰越金、調整保険料……。専門書を読んだり、周りの人に教えてもらったり。でも、なかなか理解できません。
 最も苦労したのが予算です。この年末、高齢者医療納付金の算定シミュレーションに数字を入力したら、とんでもない金額が出ました。平成25年度と比べて激増。24年度の精算額の影響です。
 「なんという制度だ!」
 「予算が立たない」
 「積立金、準備金を繰り入れるしかない」
 「準備金の保有率は大丈夫か?」……。
 なんとか予算編成を終え、その後、苦戦を重ねながらも、1年が過ぎました。
 さて、2年目です。まず自分自身が、もう少し健康になりたい。データヘルス計画など課題も多いが、受身ではなく、積極的にやっていきたい。あと何年、この仕事ができるかわかりません。ただ、何か一つ、功績みたいなものを残したい。そう思っています。

(第2地区 M・M)

 
●最後にちょっと聞いてんか!
 

 消費税が引き上げられ、医療費も引き上げられましたが、社会保障と税の一体改革はどうなっているのでしょうか。
 健保組合も消費税の影響は同じですが、保険料率はもう引き上げられません。なぜ、病院の消費税分を健保と受診者が負担しなくてはならないのか納得できません。
 平成20年からは、いったい何があったというのでしょうか。政権は自民党から民主党へ。一方、高齢者医療制度の創設はもちろん、それに関する長い間の議論は、なんだったのか。その結果、まったく期待外れの国民会議の答申となりました。
 わたくし、昨年還暦を迎えました。健康にはある程度自信を持っておりましたが、いろいろと故障が出てきました。手、足、腰、目、耳、などなど。60年も使えば各パーツもいろいろと故障が出てくるものなのか、早急に病院に行き修理しました。
 そういえば、わが健保組合も還暦を迎えました。ただ、パーツの故障にとどまらず、心臓部が崩壊状態になりました。
 わたしの体のように病院に行って治せるなら問題ないのですが、使える保険もなく、自費では準備金が不足します。
 もう修理不能なら、解散して埋葬料でも貰って、と思いきや、準備金が足りなければ100%になるまで積み立て、もし100%を超えたら、超えた分は返してもらえません。
 社会保障では、景気の良し悪しにかかわらず、国民の安心と信頼を得ることが大切です。
 政権が変わろうが、景気が悪くなろうが、生きていくための基本部分は保証されなければなりません。政治家や官僚の皆さんには、目先の票や保身ばかりでなく、本当に安心できる国民のための社会保障の構築を切にお願いする次第です。

(第3地区 ZKO)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連大阪連合会事務局へ。(06-4795-5522)