広報誌「かけはし」
 
■2014年8月 No.515
健保問答 

第 406回

     
Q
   「検認」で被扶養者の収入確認をするにあたり、収入の範囲として、給与所得者の場合は収入総額とし、自営業者の場合は、収入総額から必要経費を差し引いた残りの額とされているのは、不公平ではないでしょうか。

A
   収入の範囲とは、「生計を維持するために投入し得る収入額」とされていることから、給与所得者は、総収入額であり、自営業者の場合は、収入総額からその事業を営むための「直接的必要経費」を差し引いた残りの金額が、「生計を維持するために投入し得る収入額」と考えられるためです。
 なお、収入総額から差し引く必要経費については、所得税法上で認められている必要経費とは異なります。扶養にあたっての必要経費とは、それなしに事業が成り立たない経費「直接的必要経費」と考えられています。
 すなわち、製造業の原材料費や、卸小売業の仕入れ代や仕入れにかかる運送経費などは、「直接的必要経費」になると思われます。
 「直接的必要経費」の判断にあたっては、所得税青色申告決算書の損益計算書などを提出してもらい、経費内訳から保険者が決定することとなります。

例:「直接的必要経費」とは思われないもの
 減価償却費、退職引当金
 償却資産の購入時点や退職金の支払時点の現金支出を「直接的必要経費」とするため。
 交際費、雑費
 交際費、雑費などについては、それらの経費がないと事業が成り立たないとはいえないため。