広報誌「かけはし」
 
■2014年5月 No.512


 
 健保連本部(大塚陸毅会長)はこのほど、全国1410健保組合の平成26年度予算(早期集計)を発表した。予算データの報告があった1367組合の数値をもと に推計したもの。それによると、経常収支差引額は3689億円の赤字で、全体の約8割の1114組合が赤字となった。平成20年度の高齢者医療制度創設以降、7年連続の大幅な赤字であり、同制度等への拠出額は7年間でついに20兆円を超えた。全体の約3割(399組合)が保険料率を引き上げ、窮迫した財政状況が続いている。

○適用状況
 健保組合数は対前年度比10組合減の1410組合。被保険者数は約5万人増加して1564万0789人。被扶養者数は約19万人減少して1360万0659人。扶養率は0.87となった。平均標準報酬月額は1669円増の36万5273円。1人当たり平均年間賞与額は2万1515円増の103万2496円となっている。
 平成26年度当初の保険料率引き上げ組合は、全体の約3割にあたる399組合で、平均引き上げ幅は8.15‰となっている。
 この結果、平均保険料率(調整含)は、前年度より2.25ポイント上昇して88.61‰となった。このうち、高齢者医療制度への拠出のための特定保険料率は、40.74‰となっている。
 
○経常収支状況
 おもな収入は、保険料収入が7兆2982億円(対前年度比2.70%増)などで、経常外収入を除いた経常収入合計は7兆4155億円となっている。
 おもな支出は、法定給付費が3兆8061億円(対前年度比1.52%増)。高齢者医療制度への拠出金の合計が3兆3155億円(0.78%増)。このうち、後期高齢者支援金が1兆6033億円(1.36%増)、前期高齢者納付金と退職者給付拠出金の計が1兆7121億円(0.24%増)。経常支出は7兆7844億円(1.35%増)となった。この結果、経常収支差引額は、3689億円の赤字となった。
 また、保険料収入に対する拠出金の割合は45.43%で、この割合が50%以上の組合が446組合にのぼっている。
 
○財政状況
 経常収支が赤字の組合は1114組合(全組合の79.01%)。保険料収入に対する義務的経費(法定給付費と拠出金の合計)の割合は97.58%に達している。また、保険料収入だけでは義務的経費さえ賄いきれない組合(義務的経費100%超の組合)が633組合あった。
 経常支出相当額を保険料率に換算した実質保険料率は、96.32‰となった。実質保険料率100‰以上が500組合あり、さらなる財政の窮状を示している。
 一方、1人当たり平均の年間保険料額は、高齢者医療制度創設以前の平成19年度に38万3612円だったものが、年々増加して26年度には46万6616円となった。高齢者医療費の負担が、現役世代に重くのしかかっていることを示している。