広報誌「かけはし」
 
■2014年4月 No.511


26年度事業計画と予算を決定

 健保連大阪連合会は3月26日、大阪市北区のホテルモントレ大阪で、平成25年度第2回総会を開催した。総会には154組合が出席、委任状提出28組合を含め、合計182組合が参加した。
 総会では冒頭、大阪連合会の安藤力会長があいさつ(下欄に要旨)。続いて、来賓として出席された近畿厚生局の大西正洋保険課長があいさつを行った。
 大西課長はこのなかで、平成26年度健保組合予算編成における一般保険料率の現状を説明した。それによると、近畿厚生局管内280組合のうち、79組合が26年度からの料率変更を申請。内訳は、引き上げが76組合、引き下げが3組合、平均引き上げ幅は8%強、平均引き下げ幅は4%強となっている。
 設定保険料率が協会けんぽ(100‰)以上の組合は、平成24年度14組合、25年度49組合と急増し、26年度は65組合で、管内全体の約4分の1となった。
 とくに総合組合は、半数を超える組合が協会けんぽ以上の料率設定になっているという、厳しい状況を示した。
 大西課長のあいさつの後、同じく来賓として出席された健保連本部の池上秀樹理事があいさつを行った。
 この後、議事に入り安藤会長が議長となって、ダスキン健保組合、大阪自動車整備健保組合の2組合を議事録署名者に指名して、議案の審議を行った。
 総会終了後には、健保連本部の渡辺金次郎IT推進部長が、医療保険をめぐる最近の中央情勢を報告。それに引き続き、支払基金大阪支部の滝禎夫支部長、および前田壽徳事業管理第1課副長による、オンラインによる請求前資格確認についての講演があった。

 安藤会長あいさつ (要旨)
安藤会長
 季節は厳しい冬をぬけだして、暖かい時季を迎えていますが、われわれが直面する社会保障制度改革は、まことに遺憾ながら、いっこうに進展していません。
 昨年8月まで議論されてきた社会保障制度改革国民会議の結論は、われわれにとって、まったく不本意なものでした。かねてから強く要請していた前期高齢者医療への公費投入について、まったく触れられていません。また、高齢者医療制度改革についても、議論が行われませんでした。
 先般、成立した社会保障改革プログラム法では、医療・介護などの社会保障改革を計画的に推進し、実施状況などを検討するため、政府は安倍首相を本部長に社会保障制度改革推進本部を設置しました。あわせて有識者による社会保障制度改革推進会議の設置も定めました。
 これらは中長期的な推進体制ですが、ぜひ実りある内容となるよう期待したいと思います。
 団塊の世代が65歳を超え、日本全体の人口が減少し、高齢化が進んでいくなかで、ますます増加する高齢者の医療費を、国民全体でどのように負担していくのかが問われています。高齢者医療の問題は、国民皆保険が今後も継続していけるかという問題でもあります。
 いうまでもなく、健保組合の運営は、極めて厳しい状況が続いています。保険料収入の50%近くが拠出金として徴収されています。積立金も枯渇しており、さらに保険料率を引き上げるにも限度に達しています。このことが、これまで多くの健保組合が財政悪化により解散せざるを得ない状況を作り出してきました。
 大阪では、平成2年から7年ごろのピーク時に、本部組合236、支部組合60、計296組合あった健保組合が、現時点では本部組合171、支部組合11、計182組合と約40%も減少しています。
 そのなかには、他府県への異動や合併も含まれていますが、この20年の間に、それだけ健保組合の仲間が減少しているわけであり、まことに残念なことです。
 そこで、健保組合制度を今後とも継続・発展させていくために、健保連本部の平井会長が主張されているように、政府が消費税率10%への引き上げを判断する今年末までに、消費税増税分を財源とした前期高齢者医療への公費投入を実現するため、あらゆる手立てを講じるべきです。
 そのため、日ごろ協調、連携している関係団体も含めた総力の結集と、相手を見定めて政治家へのたび重なる強い要請を実施していくことが大切です。
 今年は、われわれにとって真の制度改革が実現するかどうかの瀬戸際です。本日お集まりの各組合の皆様に、絶大なご協力、ご支援、ご指導を心からお願い申し上げます。


 ●総会の経過
 議案第1号
 平成26年度事業計画(案)
 議案第2号
 平成26年度収入支出予算(案)
 議案第3号

 平成26年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること

  以上の3議案を一括上程し、いずれも原案どおり承認された。
 議案第4号

 平成25年度被用者保険運営円滑化補助金事業会計

 収入支出予算および同説明(案)
  以上、原案どおり承認された。

 ●健康保険組合をめぐる諸情勢
 
(1)社会保障制度改革の推進
   昨年8月21日、社会保障制度改革国民会議の報告書に基づいた「法制上の措置」が閣議決定され、第185回臨時国会が開会した10月15日の閣議で、政府は「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案(プログラム法案)」を同国会に提出、12月5日に成立した。
 今後、同法に示されたスケジュールに沿って、医療制度、医療保険制度、介護保険制度、雇用対策、少子化対策等の社会保障制度の検討が行われ、改革について推進することになっている。また、関係閣僚からなる「社会保障制度改革推進本部」と、有識者からなる「社会保障制度改革推進会議」を新たに設置し、中長期的な視点からも議論が行われる。
 なかでも医療保険制度については、平成27年通常国会に必要な法律案を提出することを目指すものと規定しており、平成26年は、医療保険制度を将来にわたり安定して継続させていくための極めて重要な年になるため、これからの議論と改革の行方を見極めていかねばならない。
 健保組合・健保連では、昨年の全国大会で決議した「前期高齢者医療への公費投入の早期実現」など4つのスローガンの実現に向け、特に消費税率10%への移行が平成27年10月に予定されているので、27年度政府予算の方針が決まる26年末を山場と捉え、各関係団体との連携を強化しつつ、一致団結して政界を中心に訴えていくことが重要である。
(2)健保組合(大阪)の財政状況
   健保組合の財政状況については、増大する医療給付費に対応するため、レセプト点検、療養費の適正化、後発医薬品の使用促進、各種保健事業など、医療費適正化に向けての取り組みをきめ細かく実施しているにもかかわらず、保険料収入の約5割を占める納付金等が過重な負担となり、8割を超える組合において経常収支は赤字となっている。
 そのため、多くの組合が保険料率を引き上げざるを得ない状況が、ここ数年続いている。
 26年度も、診療報酬改定や、高齢化に伴う医療費や納付金等の増加が見込まれ、健保組合財政は、さらに厳しい環境にある。
(3)大阪連合会の事業等
   大阪連合会では、各健保組合・各地区会をはじめ、理事会・各委員会において、常に真摯な議論を重ねて、当面する課題に取り組んでいる。
 本年度も、次の事業計画に基づき、所期の目的を達成すべく、事業活動を実施する。


事 業 計 画
 
〔基本方針・活動〕
(1)重点事業活動
   社会保障制度改革に対する的確な対応、および保険者機能の強化に向け、会員組合の協力を得ながら、健保連本部との連携を密にして、次の事項について取り組む。
 

@理事会・委員会・地区会活動を積極的に推進する。
A健保連の主張を国政の場に反映させるため、政党・国会議員への要請活動を積極的に推進する。
B機関誌「かけはし」やホームページなどの広報活動を通じて、健保連の主張や活動の周知を図り、理解度を高める。
C「レセプト管理・分析システム」の活用による、保険者機能強化への支援を行う。
Dデータヘルス事業の円滑な実施に向けて、保険者機能強化への支援を行う。
E社会保障・税番号制度について健保組合が円滑に導入準備ができるよう支援を行う。
F健保組合全国大会への積極的な参加を推進する。
G健保組合の円滑な運営のため、行政機関と密接な連携を保つ。
H関経連、連合大阪、協会けんぽ大阪支部との連携を図る。
I医師会等医療関係団体とは意見交換を通じて相互理解を深める。
J大阪府保険者協議会では、医療費の適正化や有効な保健事業について健保組合の意向を反映させる。
K国保運営協議会へは、被用者保険サイドの意向を反映させるよう積極的に参加する。
L「けんぽれん病院情報『ぽすぴたる!』」への登録促進について、引き続き積極的に取り組む。
M健保連地域懇談会では、大阪連合会の意見を反映させるとともに、近畿地区各連合会とは密接な連携を図る。
N他府県の健保組合も加えた保健事業等に取り組み、連帯感を醸成する。
Oその他、時宜に応じた諸対策を実施する。

(2)組織活動
 

 組織活動の強化を図り、次の事項を実施する。

 

@理事会および総会を開催する。
A地区会長会議、各種委員会等を開催する。
B地区会を中心とした諸活動を支援する。

(3)組合運営に対する支援活動
   会員組合の円滑な業務推進に資するため、次の事項を実施する。

@会員組合に提供する情報の充実を図る。
A組合予算編成等事務説明会を開催するなど、行政機関および健保連本部と連携を密にして支援する。
B永年勤続者表彰式を挙行する。
C会員組合の保健事業、医療費適正化対策の推進を支援する。
D会員組合に有効な健保事務、法律、レセプト・保険給付、特定健診・特定保健指導等の相談事業を充実する。

〔事業活動〕
1.広報活動の推進
 広報活動の充実を図るため、次の事業を実施する。
(1)機関誌「かけはし」の発行

@誌面の充実を図り、月1回発行する。
A次の項目を重点的に掲載する。
・社会保障制度改革関連(高齢者医療制度改革の具体的進展に向けた対応、健保組合に対する国の財政支援の継続・拡大等)。
・医療費適正化関連と健康づくり関連。
・大阪連合会の事業活動。
・会員組合の財政状況と地区会の事業活動。
・政党・国会議員への要請活動。

(2)広報活動の強化

@会員組合の事業活動の推進に役立つようホームページの充実を図る。
A会員組合が行う広報活動に役立つ広報研究会を開催する。
B会員組合の広報活動に役立つ広報資料を提供する。

(3)関係団体等に対する対外広報の強化
   次の関係団体等への機関誌配布を通じ、健保連の主張と事業活動への理解の浸透を図る。

・国会議員(大阪府選出および社会保障関係)。
・経営者団体・労働団体および医療関係団体。
・その他、必要な関係者。


2.会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・合理化の推進
 会員組合の円滑な事業運営を支援するため、次の事業を実施する。
(1)会員組合役職員の資質向上

@事務長研修会を開催する。
A組合業務別実務講習会(適用・給付・庶務会計・徴収)を開催する。
B初任者実務講習会を開催する。
C個人情報保護研修会を開催する。
D後発医薬品に関する講習会を開催する。
E健保事務相談を実施する。

(2)組合業務の改善・合理化の推進
    パソコン研修会を開催する。
(3)保険者機能の強化
    @レセプト管理・分析システムの活用等研修会を開催する。
Aデータヘルス事業に関する研修会を開催する。

3.医療費適正化対策の推進
 医療費の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。
(1)行政機関・医療関係諸団体との連携強化

@近畿厚生局・医療関係団体との連携を図る。
A大阪府保険者協議会医療費調査部会との連携を図る。
B国保運営協議会委員の活動強化を図る。

(2)審査支払機関との連絡・調整の緊密化

事務連絡協議会を開催し、審査結果事例等について審査委員との意見交換を行い、結果資料を提供する。

(3)医療費適正化に関する情報の収集と活用

@関係各方面からの情報収集および情報提供の促進を図る。
Aレセプトおよび特定健診・特定保健指導データによる、医療費統計・分析の活用を図る。
B柔道整復療養費に関する情報の収集を行い、適正化を促進する。
C後発医薬品の使用促進を図る。

(4)レセプト点検等に関する研修会の実施

@改定診療報酬点数説明会を開催する。
Aレセプト確認事務に関する研修会を開催する。
B柔道整復・鍼灸・マッサージ療養費に関する研修会を開催する。
C求償事務に関する研修会を開催する。

(5)医療対策室の活動強化

レセプト・保険給付相談を実施する。


4.保健共同事業の推進
 会員組合における保健事業の円滑な実施が図れるよう支援する。
(1)健康教育の実施

メタボリックシンドローム対策に加えて、がん予防・メンタルヘルス等をテーマに研修会を開催する。

(2)保健師活動の実施

@保健師による特定健診・特定保健指導の円滑な実施を支援する等、相談事業を実施する。
A保健師の資質向上を図るため、研修会等への参加を支援する。
B保健師連絡協議会活動を支援する。

(3)大阪府保険者協議会との連携

保健活動部会との連携を図る。

(4)感染症対策
    エイズ、インフルエンザ等感染症対策の普及啓発に努める。
(5)共同利用施設の契約
    ・保養施設の共同利用の契約。
・プール利用券の斡旋。
(6)健康づくり活動の推進
    @生活習慣や生活環境が健康に及ぼす影響などの啓発活動に努める。
A健康ウオーキング等、各種健康づくり活動を後援する。

5.総合組合の運営助成
 総合組合の運営に資するため、次の調査・研究事業を実施する。
   

@総合組合の実態に関する調査資料を作成するとともに、財政状況を分析し検討する。
A特定健診・特定保健指導の実施上の課題を検討する。
BIT化による組合業務推進について検討する。
C協会けんぽと財政状況等について比較し検討する。



平成26年度 収入支出予算概要

(単位 千円)