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今年4月からの診療報酬改定が決まった。中医協(中央社会保険医療協議会)は2月12日、田村憲久厚生労働大臣あてに改定を答申した。全体の改定率は昨年末、国の平成26年度予算案の決定過程で、消費増税対応分を含めて0.1%の引き上げが決まっていた。今回の答申は、個別の診療行為などの点数改定等を示したもの。平成26年度診療報酬改定の内容が明らかになった。 |
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おもな改定項目は、消費税引き上げにともなう対応として、初診料が12点増の282点、再診料が3点増の72点、外来診療料(200床以上の病院の再診)が3点増の73点となった。歯科初診料は16点増の234点、歯科再診料は3点増の45点となった。
また、病院の急性期病棟、療養病棟ともに入院基本料の底上げなど、財源増加分が基本診療料の引き上げに充当された。
消費増税対応以外の重点課題の対応では、これまでひとくくりだった急性期入院医療について、より高度な急性期と一般急性期を担う病床の機能の明確化を図ることとした。
その方法としては、看護配置の手厚い病棟の基準の見直しが行われる。具体的には、重症度や医療の必要度に着目することにより、高度急性期病床と一般急性期病床の住み分けが進むようにした。
ほかには集中治療室(ICU)の評価。短期滞在手術の拡大・評価。総合的・専門的な入院体制が整った病院に対する加算評価―などを盛り込んだ。
一方、急性期病棟への長期療養患者の入院がいぜんとして多いことから、これを適正化して、急性期病床と療養病床の機能分化を図ること。療養病棟における在宅復帰機能についても評価した。
外来医療の見直しで特徴的なのは、地域包括診療料(月1回、1500点)の新設だ。これは、主治医機能を持った200床未満の中小病院・診療所の医師が、複数の慢性疾患がある患者に対して継続的な医療を行う場合に評価するもの。かかりつけ医推進策として期待される。
在宅医療の充実策としては、緊急時の後方病床の確保が重要なため、一定の基準のもとに「在宅療養後方支援病院」(200床以上)を新設することとした。
このほか、今回の診療報酬改定では、以下の視点に沿った見直しが行われた。@充実が求められる分野の適切な評価、A患者等からみて分かりやすく納得でき、安心・安全で質の高い医療の実現、B医療従事者の負担軽減、C効率化余地がある分野の適正化―などだ。改定は、この4月から実施される。
ところで、消費税引き上げ対応だけにとどまった初・再診料など、今回改定で有効策を打ち出せなかった課題も多い。中医協では、答申にあたり、15項目にわたる附帯意見をつけて、次回改定へ向けて引き続き検討していくこととした。 |
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