広報誌「かけはし」

■2014年2月 No.509

この広報資料は、健保連が作成したものです。
内容は、前期高齢者の医療費に関する医療保険者の財政調整の問題点を指摘しています。


T.前期高齢者納付金の過重な負担
 前期高齢者(65〜74歳)の全国平均加入率は14.34%、健保組合平均は2.94%で、健保組合全体で約5倍の前期高齢者医療給付費を負担しています。健保組合をはじめとする前期高齢者納付金の総額は3兆円にものぼり、現役世代の負担は過重なものとなっています。
*上記数値は2014年度予算(案)ベース

U.前期高齢者納付金の算定上の問題
 前期高齢者納付金は、前期高齢者の医療給付費と前期高齢者にかかる後期高齢者支援金を合わせた額を財政調整の対象としており、後期高齢者支援金分にも加入者調整率が掛けられ納付金額が計算されます。そのため、国保に加入している前期高齢者が負担すべき後期高齢者支援金を、加入者調整によって増加した人数分、健保組合などが肩代わりするという過重な調整となっています。

V.前期高齢者交付金の使われ方の問題
 国保では、前期高齢者にかかる費用について財政上区分していないため、前期高齢者交付金は収入の一部として受け入れます。「上記U」で説明したように過重な調整を行っているため、前期高齢者の医療給付費を超過する分が発生します。このため交付金は、結果的に、65歳未満の医療給付費の支払いなどにも充てられています。

W.予測ができない概算と精算の仕組み
 前期高齢者納付金は、2年前の確定値を用いて算出する『概算分』と、その2年後に実際の確定値を用いて算出する『精算分』があります。
 前期高齢者の医療給付費や加入者数などをもとに納付金額を計算する算定上の問題から、突発的に高額な医療費が発生した場合や加入者数の変動によって大幅に納付金額が増減する場合があり、単年度で収支均衡を図らなければならない健保組合にとっては、安定的な財政運営に支障をきたす大きな要因となっています。

健保組合・健保連の考え方
増大し続ける医療費を支え、今後も制度を安定的に維持していくためにも前期高齢者医療への公費投入の拡充を求めています。
医療保険者の財政運営の安定化のため、高齢者医療制度の負担構造の改革と、前期高齢者納付金の算定式の不合理の是正を求めています。