広報誌「かけはし」

■2014年2月 No.509


 平成26年度(2014年度)の健康保険組合予算編成等事務説明会が1月20日、大阪市中央区の大阪商工会議所国際会議ホールで開かれた。説明会には、大阪、福井、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の2府5県から282組合、667人の健保組合責任者、担当者が出席。午前・午後の2部制で行われたこの日の説明会では、近畿厚生局健康福祉部保険課の係官から、健保組合の26年度予算編成に関する事務の留意事項などの説明を受けた。
 予算編成等事務説明会は、はじめに健保連大阪連合会副会長の兼松連合健保組合・山本吉平常務理事のあいさつで開会した。続いて、近畿厚生局の大西正洋保険課長があいさつを行った。山本副会長、大西保険課長のあいさつ要旨は、大要次の通り。
◇               ◇
 山本副会長 政治の世界では、安倍政権が誕生して1年が経過。政治が安定し、経済界に明るさがみえてきた。しかし、財政問題をはじめ、外交・エネルギー等、課題は山積している。いずれにしても、ぜひ活力ある日本を築いていってもらいたい。
 健保組合の財政は、深刻な状況にある。高齢化にともなう医療費の増大、高齢者医療制度への過度な負担などにより、かつてない危機的な状況に陥っている。
 平成26年度予算編成に当たり、各健保組合では、保険料率の改定、保健事業の見直し、業務の効率化等、危機を乗り越えるために真剣に取り組んでいることと考える。
 一方、政府は、社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえ、昨年12月に社会保障制度改革の検討項目と工程を明記した「プログラム法案」を成立させた。しかし、制度改革の動きは鈍く、具体的な改革へ向けた議論はこれからである。
 健保組合にとって今年は、われわれの主張を実現させ、真の改革のスタートになる年である。政府には、国民医療費の約6割を占める高齢者医療費の見直しなど、負担と給付の方向性を示し、保険者にとって実りのある議論を展開していただくことを期待している。
 健保組合は一致して、また、各連合会間で協力して、われわれの意見を中央へ向けて具申していく考えである。ぜひ健保組合の団結と連帯の力をもって、この1年を乗り切っていこう。近畿地区各連合会の活動にご理解ご支援をいただきたい。
 大西保険課長 昨年、社会保障制度改革国民会議の報告書がまとめられた。これを受けて、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、いわゆるプログラム法案が12月5日に可決成立した。
 今年からは、法案に盛り込まれた諸事項について、必要な措置が順次講じられる。それとともに、法案のなかで引き続き検討を要するという表現で、課題として提起されていることについて、今後、精力的に検討が進められ、平成27年の通常国会への法案提出に向けて、取り組みが行われることになっている。
 一方、アベノミクスの第3の矢である成長戦略の健康・医療分野においては、いわゆるデータヘルス計画なども盛り込まれている。昨年は事例集が公表された。今年は、この事業を全健保組合で推進していくこととなり、保健事業の実施に関する厚生労働大臣の指針の改正が予定されている。
 このような情勢のなかで昨年12月27日、平成26年度の健保組合の予算編成通知が発出された。25年度と比較して、追加、変更された主な事項について触れるが、この取り組みをお願いしたい。
 予算計上の留意点については、まず、診療報酬の改定などが予定されている。@診療報酬の改定の影響、A高額療養費の見直し、B70歳代前半の一部負担金等の軽減特例措置、C産前産後休業にかかる保険料免除の影響―などに十分留意して推計を行う必要がある。D社会保障と税の番号制度への対応については、システム改修費が予算補助の対象とされているので留意されたい。
 保健事業の取り組みについては、データヘルス計画の取り組みや、被扶養者の特定健診の受診率向上が追記された。
 保険給付の適正化に関しては、ジェネリック医薬品の使用促進に関し、薬代の負担軽減額の通知等がその方策として追記された。柔道整復師の療養費の適正化については、昨年中の連絡文書にも留意して取り組むよう追記されている。
 積立計画に関しても大きな変更がある。今回の通知では、26年度予算ベースでの策定が示されている。そして、年度途中での実施状況報告についても追加されている。また、法定準備金の保有規模については、保険給付費相当分は2カ月分で取り扱って差しつかえない旨、1月16日に事務連絡が出されている。
 近畿厚生局管内の状況をみると、昨年、約4割の健保組合で保険料率の引き上げが実施されている。それでも約8割の組合が経常収支赤字の予算編成をせざるをえない状況であった。また、100‰以上の保険料率を設定する組合が、対前年度比で1割以上増加しており、皆様方のたいへんなご苦労を強く感じているところである。
 病気などになったとき、一定の自己負担で必要な医療サービスを受けることができる、日本が世界に誇れる医療保険制度は、なんとしても次世代に引き継いでいかなければならない。とりわけ、制度の中核的な役割を担っている健保組合は、制度を支える要だと考えている。近畿厚生局としては、今後とも必要な情報提供に努めていきたい。引き続き、ご支援ご協力を願いたい。
◇               ◇
 予算編成等事務説明会では、近畿厚生局保険課の城谷政輝社会保険監査指導官から予算編成について、田住全行社会保険業務専門官から組合運営等における留意事項について、それぞれ具体的な説明を受けた。
 また、午前の部では健保連本部の渡辺金次郎IT推進部長、午後の部では同じく中村俊介企画部専任部長から、中央情勢について報告があった。
◇               ◇
日 時 1月20日(月)
会 場 大阪商工会議所 「国際会議ホール」
内 容 ○平成26年度健康保険組合 予算編成事務等の説明
    ・あいさつ
      近畿厚生局保険課長  大西 正洋 氏
    ・予算編成について
      近畿厚生局保険課 社会保険監査指導官  城谷 政輝 氏
    ・組合運営等における留意事項
      近畿厚生局保険課 社会保険業務専門官  田住 全行 氏
  ○中央情勢報告
    健保連本部 IT推進部長  渡辺 金次郎 氏
    健保連本部 企画部専任部長  中村 俊介 氏
出席者 282組合 667人
    (内訳)
  大  阪 172組合 460人  
  福  井 8組合 10人  
  滋  賀 9組合 16人  
  京  都 30組合 61人  
  兵  庫 56組合 105人  
  奈  良 2組合 5人  
  和歌山 5組合 10人